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…実は40年前からもう既に「代用肉」は始まっていた⁉~米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<New Protein編>

5/30/2019

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写真提供元:http://cok.net/blog/2019/01/lightlife-serves-bleeding-vegan-burger 


米Beyond Meat社が先般米Nasdaqに華橋く上場をしてから、Impossible Foods社のUS$300Millionの追加投資をはじめ、米国の培養肉・植物性肉等、いわゆる”New New Protein”分野は活気を帯びっぱなしの情勢が続いている様子ですが、この植物性肉=Plant-based Meatの概念および取り組みは、実は昨今のFood Startupのトレンドとして話題沸騰する実に40年以上も前から、具体的に始まっていたようです。

米国東海岸マサチューセッツ州に本社を置くLightLife社は、1979年に創業された植物性肉のブランドで、今年2019年は創業40周年を迎えたこととなります。同社は、30種類もの商品を販売しており、2000年に米食品加工ブランド大手のConagra Brands社に買収され、その後、投資会社の傘下入りを経て、2017年カナダの大手食品加工メーカーのMaple Leaf Foods社にUS$140 Millionで買収されました。これは、この前のBeyond Meat社の時価総額の約10分の1程度。尚、1997年のConagra社への売却当時、従業員は90人程度、年商約US$25Million(≒25億円)であった模様。

同社ウェブサイト: https://lightlife.com/ 

同社の肉は、”Pea-Protein”すなわち、エンドウ豆由来の肉を使用しているとのこと。曰く、彼らのLightLife Burger一個につき、”20gのタンパク質を含み、コレステロールは含まず、大豆、グルテン、GMOは含まれていない”とのこと。

フード系のムーブメントは、ここ3,4年で生まれた現象ではありますが、本質的に同じようなことを、実は半世紀近く前からこうしたブランドが粛々と手掛けていたところに、“「誰も手掛けたことのない」と信じ込んでいたのが実際には世の中のどこかで誰かが既に手掛けている”という、スタートアップにありがちな「Only One」思想が実は妄想・錯覚にすぎないという証の一つである気がします。やはり、バズるか否かは「タイミング」に尽きるのかもしれませんが、こうして40年もの歳月を経て、老舗ブランドが新生スタートアップ群と肩を並べて商品戦略でしのぎを削る様子を、興味深く見守りたいですね。また、試しに買って食べたいと思います。巷の噂(サンフランシスコ/シリコンバレー界隈の面々からのコメント)では、Beyond Meat社のバーガーは「まるでペットフードのような」味がするらしい。。そもそもペットフードを食べたことがあるのでしょうか?・・・とにかく、新興勢力に対して、老舗ブランドの逆襲の構図の中で、消費者が最終的に受け入れる商品をどう届けて行くか、興味深いです。特に、「食ビジネス」を長年手掛けてきたブランドと、テック系出身の面々に栄養士や科学のエリートを擁するフード系スタートアップの提供する食・製品には、どこか本質的に大きな違いがありそうです。


とはいえ、食事業で「売れる」為に肝心なのは、栄養価や健康への波及効果もさることながら、結局のところやはり、「味」と「口触り」、「満腹感・満足感」といった要素が大きいような気がします。アメリカで生活をしていると、案外この「味」が未だ改善の余地が沢山ありそうな気がしてなりません。欧米の外食チェーンや食品ブランドが日本進出をする事例と重ね合わせてみたくなりますが、概ね日本で一定の成果を上げたと考えられる事例を見ると、日本人の味覚や触感のツボを上手く抑えたケースが成功を収めている気がします。日本から米国に行ったケースでは、シリコンバレーのハートを掴んだ伊藤園のペットボトルのお茶が判りやすい成功事例かと思います。

とにかく、このLightlife社は、小さな家族経営的に創業後、地道に事業を拡大し、年商で日本円30億円前後までの成長を経て大手企業に買収~投資会社の傘下~再びカナダの大手食品メーカーのグループ入り…という紆余曲折の歴史を経て今、VCや著名エンジェルからの大型投資を受けてメディアからも持て囃される新興勢力と同じ土俵で競い合うという構図は興味深いものがあります。

いずれにせよ、アメリカで培養肉・植物性肉製品を口にすることがあれば、いろいろなブランドを食べ比べてみるのが面白い時期かもしれません。
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“そこまでするか!?”~米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<米Burger King社編>

5/21/2019

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写真:Adweek 2019年5月9日ウェブ記事より"Burger King Wants to Deliver Whoppers Right to Your Car During Nightmarish Traffic Jams"
培養肉・植物性プロテイン分野でNew Age Meat社について前回取り上げましたが、その大先輩格にあたる、米Impossible Foods社。先日米国Nasdaq市場に華々しく上場を果たしたBeyond Meatと並ぶ、培養肉のスタートアップの東西横綱の一角と言えますね。既にここ2年間は日米で幅広くメディアや著名ブログサイト等で取り上げられていますので、同社についての詳細の説明はここでは割愛しますが、先週(5月)、そのImpossible Foods社の培養肉を取り扱い始めた米大手ハンバーガーチェーンBurger King社から非常に興味深いプロジェクトに着手したとの報道が目に留まりましたので、ここで簡単に取り上げたいと思います。

北米の主要フード分野のメディアであり、日本でも知名度の高いフード分野の主要大型カンファレンスであるSmart Kitchen Summitの主催社としても知られるThe Spoonの報道によれば、Burger King社がこのほど、カリフォルニア州南部のロサンゼルス市内限定で、同市内で交通渋滞に巻き込まれた自動車等のドライバーを対象とする「渋滞ドライバー向け宅配バーガー」サービスを新たにプチ・ローンチをしたとのこと。その名も”Traffic Jam Whopper”プロジェクト。

仕組みとしては、
  • 同社(BK社)はまず社内のリアルタイムデータ解析技術を活用して同市内で最も混雑が激しい道路地域を自社内で特定。
  • 上記を基に、当該取得データから得られた特定渋滞区域でつかまってしまったドライバー達向けに、同社アプリを通じたプッシュ通知あるいはカーナビアプリのWaze社のバナー広告を通じて彼らに告知。
  • 常時、同社内のシステム側では、ドライバーがのらりくらりと前に車を進めて行く中、同社の最寄りの店舗とドライバーとの距離を逐次計算をしながら、ドライバーの位置から一番近い店舗が当該ドライバーへ宅配デリ・・・いや、「車配」デリバリーを行うように動的にデータが更新されていく。
  • ドライバーは、同社のアプリ等から受け取った通知を基に、食べたくなったら自分でアプリから発注する(※因みに極めて重要なことですが、交通安全上の理由で当該サービスはハンズフリー音声でのみ発注が可能とのことらしい)。
  • 受注を確認した同社は、該当する最寄り店舗からデリバリー担当者がバイク便を発進し、ドライバーの運転する車まで走行してから真横につけて届ける

という大まかな仕組み。これ、正直、他の車の邪魔になったり、事故の温床となりそうな気もしますが。。。よほど身動きがとれないようなひどい渋滞でもない限り、果たして上手く行くのか甚だ疑問ではありますね。

曰く、ニューヨーク市内やボストンといった大都市では車で通勤する際、歩行者を避けたり狭苦しい細い道を通過したり、いろいろと細やかな運転を強いられるものの、ロスの場合、仕事が終われば、そのまま高速フリーウェーに乗ってしまってひたすらまっすぐ運転するだけ、という傾向があるらしく、そこに同社は商機を見出したものと言われています。

フード分野では、食材そのものの特性やフードテックであればその技術的な特異性や斬新性への注目が行きますが、こうしたサービス面での各社の創意工夫にも目を向けてみると、面白いものです。記事では明確にされていませんが、遅かれ早かれ、Impossible Foods社とのコラボであるImpossible Whopperも、デリバリーメニューに入るものと思われます。

因みに、ロサンゼルスの後は、上海、サンパウロでの同様の取り組みを試みる模様。折しも、日本のバーガーキングでは、既存店舗の約2割を削減する計画を発表したばかり。何か日本での生き残りをかけて日本独自のサービスを試みるのも良いかもしれませんね。
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米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<培養肉編>

5/15/2019

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写真出所:米Business Insider2018年9月18日付記事”We tried the first lab-grown sausage made without killing animals-”。昨年2018年9月に米サンフランシスコのバイオ系主要アクセレレータであるIndie Bioにて開催されたNew Age Meat社によるメディア向け試食会にて、実際に試食された同社Cell-cultured-porkの写真。
先日、米国Nasdaq株式市場に話題の培養肉(”Cell-Cultured Meat”)スタートアップのBeyond Meat社がついに華々しく上場を果たしたことで、改めてフードテック、フードバイオ分野に注目が集まっていますね。

培養肉+植物性肉は、NOSH領域(Natural/Organic/Sustainable/Healthy)のSustainable/Healthyに該当するかと思われますが、同社は2009年に創業され、大手食品メーカーであるTyson Foods社をはじめ、上場までに合計8~9ラウンド(~シリーズH)の投資ラウンド、US$122millionを成功裏に集めています。

当該分野は、既存の動物性の肉を使用した従来の肉から、動物愛護的な観点及び地球環境の持続性(=サステイナビリティ)等といった近年多様化、変遷する価値観のトレンドに乗じてフード分野の大きなセグメントとなっており、Beyond Meat以外にも、Impossible Foods社(設立2011年、2019年5月現在投資額US$687.5million)Perfect Day社(同2014年、US$61.5million)、Clara Foods社(同2015年、US$16.8million)、Seattle Food Tech社(同2017年、US$2.1million)等があります。日本国内においても、Integriculture社がこの分野の注目スタートアップとして話題になっていますね。

全世界で当該市場は2021年にはUS$15.5Millionに到達すると予想され、2027年にはUS$20Millionに到達すると予想されています(⋆)。また、VC等からの投資額は過去10年間(2009年~)に大凡US$16Billion(約1.7兆円)にのぼり、特に顕著なのがそのうち$13billionがここ2年間に集中している模様である点。いうまでもなく、前述のユニコーン的なスタートアップがシリーズC~Fあたりの時期に差し掛かったことで、アーリーVCよりもレーターステージ/グロースフェーズの投資ファンドが挙って投資を実施したことが金額を押し上げている主因の一つであろうかと考えられます。

そうした中、2019年に注目したいのが、New Age Meat社です。彼らは、2名の理系創業者によって2018年6月に設立されたばかりで、筆者も当事者のうちの一人の創業メンバーとは会社設立直前の段階から親しくする機会に恵まれましたが、彼らとは、米シリコンバレーの代表的なバイオ系アクセレレータのIndie Bioのコミュニティで接点が生まれました。2019年5月現在、公表資料ベースでUS$250K集めており、Indie Bioからの卒業と共に、これから大きく飛躍していこうという段階に差し掛かったところです。

同社は、牛肉(”Beef”)ではなく、「豚肉(“Pork”)」に焦点を当てている点がさり気なく新鮮な特徴であり、既存の豚肉(具体的には、ソーセージ)の代用として、より「衛生的にもクリーン」で「倫理的にも望ましい条件下で育てられた」全く新しい“豚肉”を我々の食卓にもたらしていくことを目指して開発及び商品化に向けて本腰を入れて行くこととなります。世界の大型家畜産業(農業)は地球温暖化の主な原因のうち15%を占めると考えられており、これは、自動車や交通機関等による排ガス等からのインパクトよりも大きいと見られていますが、同社はその影響を少しでも改善されることを目指してこの事業に取り組み始めているそうです。

彼らの大きな特徴の一つとされるのは、彼らが豚の「脂肪筋肉(fat cells)」と「筋肉細胞(muscle cells)」との2つの要素を活かした代用肉の開発に着手している点。既に培養肉分野は競争激化状態にありますが、これからは、牛肉や豚肉から、今年から遅くても2020年頃までには魚の肉の培養肉までが次々と世の中に出てくることが予想されます。しかしながら、一方では、前述のBeyond Meat社も晴れてIPOを成功裏に成し遂げた今、正にこれからは上場企業としてその時価総額の実証へのプレッシャーと、持続的成長への高い期待に応えていかねばならない高いハードルに対応して行くことが求められます。Beyond Meatの結果次第では、その後の培養肉スタートアップへの投資資金の流れやメディアの取り扱い方に多少なりとも影響は出るものと思われます(Blue Apron社の失敗がまだ記憶に新しい)。そうした中、New Age Meatがどう成長していくか、2019年度は興味深く見守って行きたいです。

出所:MarketsandMarkets™ - Cultured Meat Market by Source (Poultry, Pork, Beef, Duck), End Use (Nuggets, Burgers, Meatballs, Sausages, Hot Dogs), and Region (North America, Europe, Middle East & Africa, South America, Asia Pacific) - Global Forecast to 2027
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【無事イベント終了!】オリック東京法律事務所主催<Total Access Tokyo>シリーズにWildcard Incubatorが企画/登壇

2/24/2019

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‐ 皆さんこんにちは。気まぐれなブログ最新版です(前回からの宿題である北米アグリテック分野に関するブログは別途改めて御報告します・・・)。今月8日、シリコンバレーにもオフィスを構える米大手法律事務所、Orrick, Herrington & Sutcliffe LLPの東京オフィスが企画主催をする、Total Access Tokyoにて、無事セミナーを開催することが出来ました。当日の内容について詳しくはこちらをご覧ください。このオリック東京法律事務所による本Total Accessセミナー・シリーズは、ブレックファースト/イブニング・セッションおよびネットワーキングイベントを通じて、起業家および投資家のビジネス、戦略および法律に関する情報を提供されるユニークな企画であり、こうした大手シリコンバレー系の法律事務所とはなかなか起業家やアーリー・ステージのスタートアップが接点を持ちにくい中、双方の距離を縮めることのできる非常に貴重な企画です。 
 さて、我々がご協力をさせていただく企画として第一回目となる今回のゲストスピーカーは、筆者のVC時代からのご縁であり、今まで数々の国内外のテック系スタートアップで15年以上経営を担ってきており、現在は東証マザーズに上場をする
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社の上場立役者となった同社ナンバー2で取締役CSOの斉藤修氏にお越し頂きました。選んでみたテーマは、「外国人経営者や投資ファンドとベンチャー実務を上手くこなすポイントとは❓」(因みに、この前段は、同法律事務所から杉田 泰樹先生より「成長期のスタートアップの潜む5つの罠」という、これも実務的に参考となるお話を頂きました)。
 
 多くの日本人起業家経営者やスタートアップが米国(あるいはその他日本以外の海外)で事業を試みたり、仲間・人材を現地で採用したりする際に直面する壁の一つに、異文化圏での意思疎通ではないかと感じます。これは、例えば日本国内で欧米外国人経営者のもとで働く場合においても遭遇することもあります。ピッチイベントで登壇した際のメッセージの伝え方もそうですし、現地で新しい仲間と共に仕事をする際にもそうですが、どうしても日本人としての価値観や考え方から中々抜け出せない自分があり、それがネックとなって中々自らの意思や考えを、組織内のチームや協力を仰ぐ外部パートナー等にうまく伝えきれずに現地化や現地でのサービスインが上手くいかいということが良くあります。というか、大半がこうした罠から脱しきれないからこそ、結局現地での事業が失敗に終わる、というケースが少なくないと米国では良く感じます(無論、それ以外にも個別要因としてそれぞれの原因はもちろんあるはずですが)。

 齋藤氏は、外国籍の経営者の下でオペレーションの執行責任者としての重責を任されるキャリアを積んできており、その中には生みの苦しみや「とんでも」な失敗談もあれば幾度もの苦境を乗り越えての成功体験等、ご本人にしかわからない様々な貴重なご経験について”今回はあくまで人前で話せる範囲で”お話頂きました。
同氏のお話はもとより、筆者の経験も踏まえて一番思うのは、やはり経営者等へは遠慮せず腹を割って話すことに尽きると思います。特に、とかく意見をぶつけ合うことにあまり慣れない日本人にとって、Debate(討論)的な会話の意思疎通は人間関係の軋轢を生むと考えられがちですが、要は、人格と意見とを分けて議論するコツを身に着けることで、人間関係の感情的な軋轢を回避しながら、自分の軸足をしっかりと相手に伝えて行くことで、自分の役割や存在感を明確にアピールすることがしやすくなるものと思います。「空気を読む」より「言葉を尽くして説明する」でしょうか。個人的には、こうしたことは小中学校の頃からある程度身に着けられる教育カリキュラム/環境が整備されることが望ましいとは思いますが。。。

 次回以降も、米国で事業化を目指す事業会社や起業家、スタートアップの皆様にとって実務面で少しでも有益となるなり得るようなテーマを絞り込んで企画したい考えです。特に、良くある大型カンファレンスのようにスピーカーとご参加されるお客様との間に距離が開いてしまうしまうのではなく、直で会話が出来る場をこれからもご提供したいと思います。開催時刻にもよりますが、米国シリコンバレー現地とビデオ中継を結んで向こうの有識者をお招きして皆様へ貴重な話を引出すような内容も考案中です。「こんな内容を是非聞きたい」というものがあれば、いつでもご連絡下さい。

 最後に、今回このような場をご用意いただいたオリック東京法律事務所に心より御礼申し上げます。また、多忙の中貴重なお時間とお話をいただいた斉藤さんに深く感謝申し上げます。そして、当日は金曜日の夜遅くにもかかわらず、わざわざ六本木まで足を運んで頂いた多くのご参加者の皆さまには心より御礼申し上げます。こうした皆さんとのご縁は我々にとりまして宝物です。Wildcard Incubatorとしては、今後このTotal Access Tokyoにて定期的にご参加頂ける皆様(日米で事業を広げたい事業会社様、北米/シリコンバレーを目指す起業家、スタートアップ、中堅事業会社の経営者やご担当者の皆様、等)にとっても有益なコンテンツを提供させて頂ければと考えていますので、是非とも今回のセミナーに懲りずに今後ともよろしくお願いします!

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【※米国シリコンバレーから~現地レポート】勃興する食+“農”と地球持続性テーマへの投資トレンド~NOSH<“Natural-Organic-Sustainable-Healthy”>市場

9/2/2018

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(写真:今年2018年5月米サンフランシスコにて開催された大型フード+テック系カンファレンスでの光景。筆者撮影)
<約200日ぶりのブログ更新となります・・・>

₋ 米Wildcard Incubatorは約一昨年前から、フード・サステイナビリティ分野、AgTech(農業IT)、バイオサイエンス分野、FinTech関連、並びに"シビック・テック”なる分野(≒コミュニティ・インパクトとの連携)に主に力を入れ始めており、我々がご縁を頂く日本のスタートアップやその他米国プロジェクトも当該分野にかかわる皆様とのご縁を多くいただき始めています(もちろん、その他の分野の起業家の皆様からのご相談・米国ローンチ支援も随時受けています!)。元々Wildcard Incubatorの主要メンバーがそれぞれ注力する分野であることから(熊谷=フード・AgTech系/モバイルテック、Charles=Public Policy/Blockchain/Civic Tech等)、このような流れにシフトしてきているという経緯もありますが、折しも北米シリコンバレーにおいてもこれらの領域が2018年現在、既に日系メディアで持て囃されるAI、フィンテック、マーケットプレース系(Ex. Uber, AirBnB, ,日本のメルカリ、その他)といった産業領域と並び、今(そして今後3-5年)アカデミア(学会)から経済産業界(大手事業会社やスタートアップ)ならびに米国行政府まで、それぞれの関連当事者が精力的にイノベーション創出に取り組む分野となっています。そこで、今後、時間を見つけて(言い訳・・・)Wildcard Incubatorの注力する各々分野に関する米国シリコンバレーの現地トレンドの詳細は別途詳しくご紹介・検証する機会を作りたいと思います。本稿ではまず、主にFood/Sustainability(食+農/地球持続性)の分野に絞って米国シリコンバレーの現況・潮流について簡単に記載をしておきたいと思います。尚、これらの分野に携わると概ね重なることの多い農業テック関連については、別途詳しく記載致したいと思います。

 当該「Food, Nutrition」市場に、テーマ等で重なる要素もある「Biotech, AgriTech」分野をも併せた場合、2014年以来ここ4,5年の間でVC資金は1245%上昇したと試算されています(注1)。このうち、ハードウェア投資を多く伴うであろうAgTech分野への金額が最も顕著で15億ドルもの資金が主要な案件だけでも160件の主要ディールに対して2017年中に流れ込んだと見られます。これらは、2007年の当該数値(31案件、200百万ドル)と比べれば、いかにここ数年で急速に拡大しているかが如実にわかります。ちなみに、フード、農業テック分野全般を通じた代表的な案件といえば、日本のメディアにも既に多く取り上げられていると思われますが、培養肉のImpossible Foodsが75百万ドル(≒80億円)のシリーズA投資(同社累計資金調達総額<デット+エクイティ>:273.5百万米ドル)、独自の”ピー・プロテイン(エンドウ豆等に含まれるたんぱく質を抽出したもの)”を活かした代替ミルクを開発製造販売し、乳製品(牛乳)業界に革新をもたらすことを目指すRipple Foods社による65百万米ドルのシリーズC、日本のソフトバンクが大型投資をしたことでも日本のメディアに取り上げられた、室内農業のPlenty社による2億米ドルものシリーズBファイナンスの実施等が挙げられます。もう、単衣に日本のスタートアップ投資とは規模が違いすぎて(そもそも日本にはこうしたリスクマネーはあり得ない)笑っちゃいますね。

 背景にはさまざまな経済的、社会的、人間の価値観的(≒宗教観的)、政治的(?)要因が交錯しており、一概に「◎×だから!」と勝手に断言してしまうのは案外酷ですが、一つ言えることは、こうした"Food 2.0"系に積極的に事業投資を行い始める米国食品業界にとって、成長性がここしばらく乏しい当該業界にとっての起死回生の原動力としてこの流れを最大限に活かしたいとの思惑があることは確かです。現に、2009年から2014年頃にかけて、米国の食品業界における既存大手ブランド群の売上が191億米ドルも減少したと言われます(注4)。さらに、全米の食品業界の約75%の成長が主に中小ブランドの寄与によるものと考えられており、こうした背景を元に、大手食品ブランドが今”焦り”を感じているといったところでしょうか(注5)。これに拍車をかけるように、今いわゆるミレニアル世代と、そのさらに一世代若い"Generation Z”なる世代がこれからまさに政治、経済、社会への影響力を増していく中、彼らの消費スタイル・価値感といったトレンドをもはや無視できないというのが現況と言えます。

 昨秋からほぼ1年間、Wildcard Incubatorが力を注ぐ有望ポートフォリオの一つである日本発スタートアップ・BioApatiteのCOOとして北米での初期的営業から本格的な事業開発、主要アカデミアとの共同研究に至るまで、多くの時間を費やしていますが、こちらでは多くのシリコンバレーの有識者や大手米国事業会社の担当者、インキュベータ、アカデミアとの貴重なご縁を構築させていただいており、彼らを通じて様々な学びの機会を得ています。現在、シリコンバレーにとどまらず(というか、むしろ)、東海岸~中西部の大手コンシューマー・ブランドや食品大手米国企業とのディスカッションを実施中で、こうしたビジネス上のやりとりを通じて様々なことが見えてきます。お陰様で、日本では全く協力姿勢を示さない学会を尻目に、こちら全米のトップクラスの研究チームから彼ら(BioApatite)との共同研究にご協力頂ける運びとなり、既に米シリコンバレーと日本のスタートアップ・エコシステムの差に改めて痛感すると同時に、「こっちに実際に来て積極的に動く」ことの大切さを日々体感しています。

 まず、そもそもこうしたFood・Sustainability分野に米国(とりわけシリコンバレー)が注目をし始めたきっかけとしては、2006年‐2010年頃に勃興していた、クリーンテックをはじめとする代替エネルギー分野へ積極的にVCマネーが全世界で流入していた時期にまでさかのぼるかもしれません。その頃から、いわゆるシリコンバレーのテック業界の起業家経営者の大御所達(マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、等)が、こぞってエネルギー分野に着目し始めた時期であり、投資コミュニティ側ではKhosla VenturesのVinod Khosla氏をはじめ、日本でも猫も杓子もクリーンテック分野への投資ファンドを次々に立ち上げた頃です(今やその成果は日本も本家シリコンバレーも・・・💦)。荒手に検証してしまうと、世の中が多かれ少なかれ、「地球環境保全」「持続可能社会」というものに意識が大きく傾き始めたのがこの時期であると言えます。恐らく、この時期に、アメリカ社会と共に、シリコンバレーの投資マネーが地球環境、持続可能のエコシステム構築のイニシアチブに潮流が流れ始めたのではないかと感じます。その延長線上で、より身近な「食」という部分にまでフォーカスが当たり始めた、という具合。前述の、「自分の価値観を大事にするミレニアル世代の台頭」も後押しすると思います。そして、その「食」に関わるチェーン<食物の生産、加工、包装パッケージング、流通、販売、食品残渣~>それぞれの細部において様々な新しいアイディアが、メディア等でも大きく取り上げられているとおり、次々に出現し始めるような潮流に今我々はいるのだと思います。

 一方、2000年代後半には、FacebookやYouTubeの成功をきっかけに、レストランの口コミサイトYelp(≒ぐるなび)や、ソーシャルゲームのZinga等、今度はシリコンバレーは「ソーシャル◎×▲」が勃興し、インターネット上で人と人とが気軽に情報を交換する世界が浸透し始めます。投資コミュニティもKPCBとAppleとがJVで設立したiFundや、同じくKPCBとFacebook、Zingaらが共同で立ち上げたsFund等、サンドヒル通り(シリコンバレーのVCが連なる、まぁVCのウォール街といったところ)もソーシャル系のファンドが勃興し、小回りの利く投資が主流と化します。そこに、2007年にiPhoneが世に発表され、今のスマホが次第に我々の必需品となっていきました。前述の「食」への意識の浸透と共に、こうした消費者のソーシャル化、アプリ主導型(無論、一概にアプリだけとは言えませんが。現地では、今尚、「お店で見て買う楽しみ」を追求する層もそれなりにいます。)の流れが都市圏を中心に出来あがっていく中、特に働き盛り+遊び盛りの都市圏ミレニアル世代の中では、「身体に良い、そして地球環境にも優しい食を、手軽に手に入れられる」ようなサービスを求め始めていき、その結果、総菜宅配サービスからミールキット、機能性食品のオンライン販売サービスといった、既にここ2,3年投資マネーがにぎわすスタートアップの登場を後押ししてきたように思います。そのサービスの多種多様性(+似通ったものばかりが最近は少なくない)と言えば、さすが、シリコンバレーといった具合。ただ、この領域では既に淘汰の段階に来ており、最近上場したBlue Apronをはじめ、「持続可能なビジネスモデルの信憑性」について、投資家はここ2,3年と比べてこれからはさらに一段と厳しい目を向け始めていますので、2019年以降は、食関連のビジネスもちょっとしたトレンドシフト(既存トレンドの淘汰+新しいものの到来)が起こるかもしれません。

 そして、2010年頃と言えば、(繰り返しますが)1980年代から2000年頃に生まれた世代と定義づけられていると言われる、いわゆるミレニアル世代がその政治/経済/社会的な影響力・発言力をつけ始めた頃ではないでしょうか。単純計算すると、上は30歳前後、下は(まだ弱冠)10歳前後となりますが、上限の30前後の層とは、前述のソーシャル系のスタートアップを先導する起業家層の年代と思われます。

 言うならば、①環境問題というものに社会全体の意識の振り子が傾き、②その社会におけるミレニアル層の市場としての重要性は増し、③そうした世代がスタートアップの起業家経営層の中心世代となってきた今、地球環境問題のうち、衣・食・住の「食」という最も身近な存在にフォーカスされる素地が固まってきたのがここ数年の流れではないでしょうか。そこに投資コミュニティも地球環境というテーマの延長線上でFood/Sustainability+Agtechという領域に着目し、それらの投資ファンドに新たなビジネスモデルを模索する既存の産業界(食品産業、一般消費材産業、農業関連業界等)がリスクマネーを投入することで、こうしたFood/Sustainability+AgTech分野へのVCファンドが今のように出来上がってきたという流れであるような気がします。

 ちょうど2011年頃にシスコのファッション業界とテック業界の業界間の垣根が崩れ始めて相互が関わり・交わり始めた頃、Wildcard Incubatorの同僚パートナーであるCharlesと共に彼が共同創業したSF‐FASHTECHと共に当該Fash-Tech業界関係者と関わり合いを持った時期がありましたが(ちょうどそのころ、日本のMUJIやUNIQLOが挙ってサンフランシスコ・ベイエリアに旗艦店舗を大々的に構えた時期)、その頃のFash-Tech業界の流れと今のFood/IT業界は類似するように見えてます。当時も、それまではあまりテック・ITの良さを活かしきれていなかったファッション衣料業界が、AmazonやZapposといった会社の成功事例を次第に意識し始めた頃でした。また、ZapposもVegas Tech Fundを立ち上げてコマース系の有望株スタートアップにVC投資をし始めたのもこのころ。当時のファッション・衣料品業界も既存ビジネス(旧来の店舗ビジネス)の成長鈍化と市場が求める新たな嗜好(ソーシャルメディアの活用、個々人の嗜好に合わせた販売方法、サプライチェーンの効率化/可視化/~、等々)への試行錯誤の壁にぶち当たる時期であり、今の食(+農…このAgTechの部分については別途お話する予定です)に纏わる新たな潮流と非常に似ている気がします。

 そこで、まずは「食」及び「持続可能/サステイナビリティ」分野へのVC投資について、ここ4,5年の概況を見たいと思います。各種データがいろいろと出ておりますが、概ね見えてくるのは、昨今のような盛り上がりを見せ始めたのは、2014年前後~であること。
 
以下は、ここ2,3年のVCマネーの「食・サステイナビリティ分野(※AgTechは除く)」への投資金額に関するデータのまとめとなります:
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米国シリコンバレーのフード系への投資トレンド
2017年(注2):
VC投資額:10.8億米ドル(前年比)
投資対象企業:99社(前年比87.8%増)
平均1件あたり投資金額:10.9百万米ドル(中間値:4.25百万米ドル)
M&A件数:136件(前年142件)

2018年5月末現在(注3):
VC投資額:13億米ドル
~ご参考:2008年投資額60百万米ドル、2013年同290百万米ドル、2015年同10億米ドル
投資対象企業:約50社(年率換算でほぼ100件のペース) 
~ご参考:2008年投資件数16件、同2015年139件
M&A件数:88件

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食+サステイナビリティ分野と主なテーマ・トレンド:

  実際に事業側の立場で投資家や事業会社と接していると、「食」に纏わるビジネスを今から始めるのであれば、やはり今は「代替プロテイン」「植物性栄養素材」が主テーマの一つである点がはっきり見えます。動物性肉・タンパク質の代替としての植物性肉・タンパク質の摂取を可能とするような新しい肉の開発が今、バイオやサイエンスの力を借りながら、精力的な開発競争がシリコンバレー一帯だけでも盛り上がっています。
 さらに、野菜やフルーツが元来持つ栄養素を活かそうとするサプリや、Smart Food(定義:“good for you, good for the farmer, and good for the planet/are highly nutritious, protein-packed, and climate-smart crops”)といった「人為的な食」の新規開発も今盛り上がっています。これらは、もうすでに様々なメディアに取り上げている通り。そこには、従来の食品業界と、サイエンス+バイオテクノロジーの分野が融合してきていることも確かです。

 こうした主要トレンドでいくつか勝手ながら少々気になるのは、シリコンバレーの良さでもあり、オチでもあるのですが、何でもかんでも「科学・テック」で解決できるとの信望に偏りすぎているように感じること。CRISPRに関しても、まだまだ研究が始まったばかりとはいえ、可能性と同時に様々な懸念事項も同時にフォーカスされ始めていることも事実です(注7)。自然の恵みと科学の力が相互で最大限に活かされる状態が一番理想的ですが、開発競争の行く末が好からぬ結果を招かないことを切実に願うばかりです(まぁ考えすぎだとは思いますが)。例えば、前述のSmart Food系の新しい高機能性・高栄養素のサプリ・食材を高らかに唄う様々なサービスが続々登場し、筆者も注目をするものも少なくありませんが、従来の野菜やフルーツと比べてどれほど栄養価が高いのか、その科学的な実証性に乏しいものが決して少なくありません。実際に食品会社やフード系スタートアップをクライアントに持ち、彼らの立場でFDAやUSDAと「機能性」「効用」といったテーマで交渉を手掛けた米国の元弁護士のお話を伺った際、今シリコンバレーや米国で消費者に普及する最近の流行りのFood 2.0系のCPG(Consumer-Packaged-Goods)の中には、科学的な実証性が非常に乏しいまま、あるい一定の水準をクリアすることでその効用を唄うものが決して少なくないそうです。その結果、米規制当局からの検閲が入ってしまって大幅な修正を余儀なくされるケースがあるとのこと。

 もう一つ気になるのは、例えば、こちらの生産者(食品生産会社+米国カリフォルニアの農業従事者家、等)と直接+間接的に会話を重ねるうちに繰り返し口にされることで、くっきり見えてくるのは、彼ら(生産者側)から見える今の「食(+農)投資勃興期」の問題点は、いろいろと登場してくるものが主にIT系のテクノロジー(AgTechに相当するもの・これらは次回に詳しく触れたいと思います)ばかりであり、そうした「テック」なものを得意としない自分達生産者にとっては決して使い勝手の良い、喉から手が出るような「ほしい」ものではないものばかりか、すぐには使い物にならないものばかりで、もう少し生産者側の「こっち(自分ら)の話をもっとじっくり聞いてほしい」との嘆きが根底にはあるというのも今のシリコンバレーの内輪的な森狩りと現実的にそれらを活かされるべき生産者側との”乖離”の実態のようです。いわば、テック業界側あるいはテック出身の創業者による発想で食や農の世界を改善していこうという機運があまりに強いが為に、対象市場の実情を知らないまま、表層的に「こうすればよくなるはず」的なアイディアとそれに連なる投資資金があまりに偏りすぎると、結果として(エネルギー投資がそうであったように)これら「食・農」関連のニュービジネスのどれもこれもが実を結ばずに終わってしますリスクが内包されていると思います。こうした試行錯誤は、まだ数年は続く可能性はあります。とにかく、食や農といった領域で新しい概念や手段を取り入れて行きながら実際にそれが経済先般に機能・浸透されていくには、ここ10年のシリコンバレーのトレンドである、「比較的少額投資で2,3年でスケールするような投資モデル」からのマインドセットから脱却して忍耐強く取り組んでいくスタンスが、特に「~7年の投資周期」が求められるVC投資業界では求められると思います。

 以下、注目に値するものから、つい最近新たに話題に上がりつつもまだコンセプト的に道半ばな印象で今後1年間の進捗を見守りたい(※ある意味競合として動向をしっかりと注視しておく必要のある・・・)スタートアップの事例をランダムに挙げてみました。

フード系スタートアップ事例:
ReGrained (www.regrained.com)
彼らは、我々とも共通メンターを通じた交友関係にあり、正に我々の取り組むスタートアップにとっての「お手本」的な存在ですが、米国内のビール工房での醸造プロセス中に発生する穀物残渣(いわゆる、食品残渣<Food Waste>として従来は有効活用されないまま廃棄等されていた貴重な資源)を再利用して、独自の製造プロセスで元来穀物残渣に残存する栄養価と共にその他の要素(水、酵母、ホップ)を加えた高栄養価(High-Nutrition)のスナックバーを開発製造するスタートアップ。当初は地元のローカルなオーガニック店やビタミンショップ系のルートを通じて販売をはじめながら、今ではWhole FoodsやSprouts Farmers Marketをはじめとする全米規模のオーガニック・自然食品チェーンに販売ルートを成功裏に拡大しており、今まさに勢いを増しつつあるスタートアップ。ミソは、彼らは、この再利用プロセスをRecycleとは言わず、”Upcycle”と称していることです。2012に地元サンフランシスコの大学経営学部のクラスメート2名で創業し(中心的人物であるDanielは実家がビール業界に携わる)、地道な製品開発とローカルチェーン店等を使った売り込みをしながら、今春、Kickstarter等のクラウドファンディングで6千万円程度を集めてこれからの展開が非常に楽しみなFood-waste based CPG(Consumer-Packaged-Goods)の存在。近い将来、今のCPG/B2Cのモデルから、高機能食材を食品会社等向けに仕入れるホールセールビジネス・B2Bモデルに発展していく可能性を秘めています。
 昨今、日本も含めて、既存のサプリメント・ビタミン市場では既存サプリ商品群の効能に対しての疑念・妥当性が改めて問われつつあり、また勉強熱心な購入層であるミレニアル世代や健康志向の高い消費者層がこれからますます洗練されていくであろうと思われる中、彼らがクオリティの高い製品を市場に流していくことが出来れば、サプリ業界の地殻変動も引き起こしていく可能性があります。このスタートアップは、筆者がファウンダーとは懇意にさせていただく仲(前述のBioApatiteを通じて)で、我々のスタートアップの米国での売り込みや事業開発にいろいろと貴重なアドバイスや協力を仰いでおり、絶対に成功してもらいたいと願うスタートアップです。

New Age Meat(http://newagemeats.com/)
2017年11月頃に創業されたばかりの、Impossible Foods、Memphis MeatやBeyond Meatをはじめとする、いわゆる「Clean Meat」のトレンドを行く最新事例の一つ。サンフランシスコの大手バイオ・サステイナビリティ系インキュベータの代表格「Indie-Bio」の直近Batch 7の支援元スタートアップの一つ。我々が初めて同社創業共同代表であるBrian Spears氏と面識が出来た昨秋はまだ”ステルスモード(まだ公に具体的な情報を開示しない時期)”にありましたが、ここ半年間に急速にメディア露出が増え、その実態が次第に具体的に明らかになりつつあるようです。同社は、独自の細胞培養技術(自動化されたデータ解析プロセスを活かした、生体触媒を通じた生化学反応を行うバイオリアクターのような装置)を駆使した細胞培養肉(Cell-cultured meat)を開発製造するスタートアップ。今年11月の同Demo Dayに向けて粛々と開発に専念中で、最初の商品は豚の細胞を利用した”豚肉”。Spears氏曰く、「当該Clean Meat市場は1.3兆ドルもの潜在規模があり、そのうちのごく一部だけの要素を深掘りして確固たる付加価値を見出すことが出来れば、十分飯が食える」。
まだ立ち上げ期にあり、無論、成功するか否かはこれからですが、既に多くのVC資金や大手食品会社のベンチャー投資資金が流入している当該Clean Meat/Plant-based Protein分野においてどういう位置づけとなっていくのか、注目したい身近なスタートアップです。

Miyoko's Kitchen    (https://miyokos.com/)
2014年頃に創業された同社は、独自の熟練栽培(aritisan-cultured)による菜食(ビーガン)チーズやバターを製造販売する、サンフランシスコ郊外のソノマ市(ワイナリー産地で有名)を本拠地とするスタートアップ。既に約12百万米ドル(≒13~14億円)集めており、そのうちTwitterやMediumを創業した連続起業家EV Williamsが率いるObvious Venturesが名を連ねており、もともとチーズや料理の分野で著名な人物であった創業者のミヨコ・シナー氏が、2000億ドルにもなると想定される米国チーズ市場のDisruptionを及ぼすべく、前述のRipple Foodsと共に乳製品市場を通じた動物性乳製品から植物性乳製品への”Veganな”シフトを先導するVegan Cheese製品を次々に世に送り出しており、今やWhole FoodsやSprouts Farmers Market、One Leaf Community Markets等、全米規模オーガニックチェーンから地元のローカルチェーンを含めて陳列棚をにぎわすブランドに成長しています。彼らの製品の素材の特色として、我々日本人にも馴染みのある「麹(Koji)」を含むものがあり、そのことが、こちらの健康志向コンシューマのツボを掴んでいる要因の一つと言われています(実際に公言する、同社の商品を愛食する米国知人より確認済み)。いわゆる「発酵食品ブーム」「Fermented Foods 2.0」の一役を担う存在となっています。

サステイナビリティ系/AgTechスタートアップ事例(※ハードウェア/ソフトウェア/マーケットプレースゴッチャ混ぜです):

Apeel Science   (http://apeelsciences.com/)
フード系であり、食品残渣問題にも寄与するスタートアップ。既に日本版TechCrunchにも日本語訳記事が今年の8月14日付けで掲載されており、皆さんにも既知のスタートアップかもしれませんが、同社は、野菜や果物等の農産物の鮮度を保ち、腐敗を遅らせる独自開発による「植物由来の素材」による保存用パウダーを活かして食品残渣の削減を目指す会社。このパウダーを水と混ぜて「懸濁液状態」にし、それを農産物に直接噴射をすることで、農産物の賞味期限を引き延ばすことが出来る、というもの。2012年に元マイクロソフトのビルゲイツ財団等からの支援ではじまり、この程70百万米ドルをAndreesen Horowitzをはじめとする著名投資家から集めた模様。
既にアボカド等に実際に店舗で販売されるものに使用されている模様で、その他、レモンやオレンジ、グレープフルーツ等で実証実験を継続している模様。同社としては、既存の約4倍の賞味期限を実現させることで、あらゆる既存の食品保存に伴うコストを削減することを目指します。特に、創業当初からのミッションとして、特に冷凍保存設備等に乏しいとみられる発展途上諸国を中心にこの技術を普及させることで、当該諸国における農産物寿命の延命を果たすことで食品未利用・残渣問題を解決することを目指すことからはじまったようです。

Recycle Track Systems   (https://www.rts.com/)
”Uber for Garbage (=ごみ処理のウーバー) ”と言われるRecyle Track Systemsは、2015年頃に東海岸のニューヨークに創業されました。食というよりは、ごみ処理という「地球環境・サステイナビリティ分野」にあたりますが、フード産業にとっても食品残渣という大きな問題があり、ごみ処理市場は実は直結する市場でもあります。そんな650億ドルにものぼると試算されるごみ処理市場(注6)では、既存大手Waste Management等の牙城を崩すべく、今までテック業界があまり手を加えてこなかった当該ゴミ処理市場に昨今の環境問題を意識した投資トレンドに乗じて最近ではRubicon Globalをはじめ、同RTS社もIT技術を駆使した新しいソリューションをもたらそうと頑張っているスタートアップ。
同社は独自のソフトウェアとスマホのアプリ開発ですが(≒Uber)、要は、主たるユーザー顧客層であるビジネスユーザーが、Uberでタクシーを呼ぶように、オンデマンドでごみ処理の収集日等をアプリ上で呼び出したりすることが可能。同社はもちろん自社で回収トラック等を持たず、それらは地元現地の既存業者と提携して彼らに任せており、身軽な会社経営を実現させているのも特色です。独自のデータ分析や追跡システムを活かした効率的なごみ収集、リサイクル、廃棄物運搬システムを実現するマーケットプレースを形成しており、主なクライアントは、ごみ処理に係る各種規制当局の要求に応じる必要のある事業者・会社をはじめ、地球環境保護の観点からゴミの再利用や有効活用に積極的に取り組むビジネス等。それぞれのクライアントのニーズに併せてサービスに幅を利かせられるようにアプリがデザインされているとのこと。主な利用者として知られているのは、米シリコンバレー有数のCo-Working SpaceであるWeWorkやオーガニックチェーンWhole Foods等。

Full Harvest   (https://fullharvest.com/)
いわゆる「売るに値しない」ものの「農産物として(ほぼ)問題ない」農産物残渣の二次市場的なマーケットプレイスを運営するのが同社。供給サイドはいわゆる生産者側である農家や食品企業(カット野菜製品を売ったりする外食企業など)であり、需要サイドは食品チェーンから、スムージーやオーガニックフードを販売する外食系企業から食品ブランドなど。B2Bプラットフォーム(※その他、不良農産物を直接消費者へ売るB2CモデルではImperfect Produce社やHungry Harvest社があります。詳細は割愛)。
彼らの目の付け所はポテンシャルは高いものの、米国には一方で、Food Desertなる、栄養素の高い良質の食の流通が途絶えてしまっている、特に高度なITインフラが都市圏近郊(シリコンバレー/サンフランシスコ/ニューヨークなど)と比べて未だに大幅な遅れをとるような、物流システムも未整備の内陸部における「食の空洞化」現象も大きな問題であり、そうした、いわば「IT頼み」ではどうにもならない食の問題をどう解決していけるか、同社のようなスタートアップがさらに踏み込んで貢献できるか、あるいは違ったビジネスモデルが創出されていくのか、これからの発展が注目されます。

Kencko  (https://www.kencko.com/)
2016年創業の、「スマート・フード」のスタートアップとして最近メディア露出が増え始めた東海岸出身のKencko。名前も日本人的にはニンマリさせられるブランド(※サンフランシスコ/シリコンバレーにいると、ふとした時に、マカロニチーズに使用される材料の一つとして使用されているパン粉が「”Panko”」と記載されて来店客が「なんだい?このPankoって??」と店員に聞いていたり、皆様も良く知る「かわいい」を「This is pretty much Kawaii」とか若人が道端で会話していたり、欧米圏で浸透する日本語が増えているのが実に楽しい・・・)。
いわゆるフリーズドライ法(真空凍結乾燥技術)を活用した手法で、野菜や果物が持つ元来の栄養素(ミネラル、プロテイン、ビタミン等)を極力損なわずにパウダー状態にした野菜・フルーツのミックス粉末パック(1袋20グラム)をベースに、ミクサーとセットで水と混ぜて約1分間振り続けて出来上がり、とのこと。一袋20グラムで水とミックスさせると一袋160グラム相当のドリンクになるそう。都市圏で多忙を極める働き盛り+健康志向の高いミレニアル等にとっては興味深いアイテムかもしれませんが、比較的容易に野菜や果物が日常的に手に入る人間にとって、彼らのサービスがどれほど付加価値が見いだせるのかは、未知数といえますね。全米及び世界中の農産物生産現場から素材を調達するとのことらしいですが、消費者が求めるのは、どれほどの栄養素を吸収できるのかというところ。従って、例えば、乳酸菌等のプロバイオティクスのような要素を効果的にブレンドさせて付け加えたり、それでなくとも「勉強熱心な口うるさいミレニアル層」をより「わざわざ買いたくなる」動機付けを見出せるかが、Kenckoの成否のカギを握りそうな気がします。

追記:当該分野に関する日本国内のスタートアップ・エコシステムの問題点:
 ずばり、アカデミアの閉塞性に非常に大きな問題があるように思えます。もちろん、これだけに限らず、他の事象もありますが、ここ昨秋から1年間、米国側で初期的営業から事業開発全般を手掛けさせていただく日本発のフード/バイオ系スタートアップでの実務をこちらで行いながら心底痛感をさせられたことですが、米国シリコンバレーの投資家や東海岸の大手事業会社の研究開発本部との交渉実務に当たる中で、こうした“研究開発型”スタートアップは彼らに対して「証拠・エビデンス・実証データ」を必ず取り揃えておくことが求められます(もちろん、日本でも全く同じ)。その際、ここシリコンバレーでは、ある程度のレベルまで製品開発が進んでいたり(プロトタイプ的なものが完成)、研究者やそのラボにとってこちら側が開発しようとするものが大きな価値や意義を見出すような可能性があれば、必要な予算さえ彼らに提供出来れば彼らはラボを通じてこちらの求める(=投資家や交渉相手企業が求める)各種実証研究を実施していただく素地が十分にあるのに対して、日本国内では、学会特有の「プライド」「閉鎖性」がそのような「アカデミアとビジネスとの相互のWin-Win関係(特に先端的な開発に取り組むスタートアップとの繋がり)」を完全に遮断をしてしまっていることがくっきりとわかった点です。
 また、こちら(米シリコンバレー)の教授や助教授は、自らが複数のスタートアップの社外取締役やアカデミック・アドバイザーを任務するケースが少なくありません。彼らは、自らの研究課題が実社会の世の中に価値を見出すための一つの手段として、スタートアップの力を借ります。そんな「同志」的な空気を感じることの一つに、我々が直接ご縁をいただくこちらの有名大学の教授陣が口を揃えて言われた「(自分のことを)"先生"と呼ぶのは止してほしい。名前(ファーストネーム)で気軽に呼んでほしい。どんなことでも率直に伝えてほしい。」という言葉。こうしたちっちゃなことが、日米間のスタートアップ・エコスステム全体(スタートアップ+大手企業+経済界+★学会)の大きな差となってしまうのではないかと感じているところです。
 一方、当該分野の日本の大手事業会社のスピード感があまりに遅い点も問題といえます。我々が取り組むビジネスにおいても、1年半前からの話が未だに成就しない一方、米国では3~4か月でほぼ到達しそうな勢い。これでは、スタートアップ側の手元資金も士気もそうそう長持ちはしない気がします。
 

₋次回は、今回はあまり触れていないものの、食・地球環境/サステイナビリティとの投資テーマ性が非常に近い農業テック(AgTech)にフォーカスをしてみたいと思います。こちらは、主にハードウェア・テクノロジーの色彩が(ご想像のとおり)強まります。蛇足ですが、Wildcard Incubatorが支援をさせて頂く日本発のAgTech分野のスタートアップや事業会社についても、追々こちらでご紹介をさせていただく予定です!

<備考:ご参考>

1.主なインキュベータ(一部紹介):
KitchenTown:
http://www.kitchentowncentral.com/
FS6:
https://www.foodsystem6.org/
Food-X:
https://food-x.com/
TERRA Accelerator(RocketSpaceが運営):
https://www.terraaccelerator.com/
Indie-Bio:
https://indiebio.co/
Food Space Co:
https://www.foodspaceco.com/
Good Food Accelerator:
http://www.goodfoodaccelerator.org/

2.米シリコンバレーのフード系/アグリテックカンファレンス・支援組織(一部紹介)
Food Funded:
http://foodfunded.us/
Mixing Bowl:
http://mixingbowlhub.com/
Food-Bytes!(欧Rabobank)
https://www.foodbytesworld.com/
Silicon Valley AgTech (Royce Law Firm):
https://rroyselaw.com/events/2018-silicon-valley-agtech-conference/
Thrive Agtech:
http://thriveagtech.com/

3.事業会社系インキュベータ(一部紹介):
Springboard(米大手食品ブランドKraftのインキュベータ部門・シカゴ本社)
https://www.springboardbrands.com/ 
Chobani Incubator(ヨーグルト・ブランド大手Chobaniのインキュベータ部門):
https://chobaniincubator.com/  
Vitamin Shoppe(米ビタミン・健康食品等の小売りチェーンの最新インキュベータ部門)
https://www.vitaminshoppe.com/lp/launchpad
301inc. (米食品大手General Mills社のインキュベータ部門):
https://www.301inc.com/
Unilever Ventures
http://www.unileverventures.com/

(米国サンフランシスコ)
備考:米Down Jones Venture Source・SDR Ventures社データ, Pitchbook Platform - https://pitchbook.com/news/articles/recipe-for-growth-vcs-are-more-interested-in-food-tech-than-ever  より 
注1: New Hope Network社データより
注2: 対象データ=食ならびに飲料サプリ系のスタートアップ限定 
注
3: 食・飲料サプリ及びフード系テック分野をもこちらのデータは含みます。従って、情報ソースが各々異なるため、単純な横比較ではありません。あくまで参考程度として。
注4: 米Nutrition Business Journalより
注5: 米Nielsen、Breakthrough Innovation Reportより
注6: IBISWorldより
注7: 
米Scientific America:https://www.scientificamerican.com/article/crispr-edited-cells-linked-to-cancer-risk-in-2-studies/
米Yale Insights:https://insights.som.yale.edu/insights/is-crispr-worth-the-risk

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ICOという「幻惑」に決して惑わされない…。

12/26/2017

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(オリジナル画像出所: https://tradescrypt.com/ico-services/)
 まず結論から先に言及すると、昨今こちら米シリコンバレーをはじめ、日本国内でも今フィンテック分野で話題沸騰中のICO<Initial Coin Offering>は、しばらくはいろいろと仕組みづくりとエコシステムの構築強化が図られていくものと思われますが、遅かれ早かれ(3年後?5年後??)何らかの Pitfall(落とし穴)が見つかって終焉を迎えるであろうと予想しています(まぁ180℃大きく外れる可能性もありますが、特にその責任はとれません・・・)。また、その限られた期間で大きく稼ぐものも出ると思われます。

 1990年代半ばから2008年のリーマンショック直前まで、筆者は投資銀行業界で様々なコーポレートファイナンスの案件を手掛ける機会があり、様々な金融工学的なアイディアに出くわす機会が多い時期がありましたが、そのころから今でも、「新しい金融手法・金融システム」という動きに遭遇する度に感じることは、「また何か裏があるうさん臭い話か」という一種の拒否反応です。金融は「ゼロサムゲーム」であり、誰かにとって都合の良い話はもう一方にとって損をする話であることがほとんど。必ず、そこには”金融商品”開発者による目論見があり、それに最終的に気づかされるときは既にマクロ経済に大きなマイナスインパクトが出てしまってからというケースばかり。1980年代は欧米ウォール街で起きた、低格付け企業やプロジェクト等を対象とした「ジャンクボンド」(低格付け高利回り=ハイイールド債)をはじめ、まだ記憶に新しい2000年代に起きた「サブプライム」問題も一種の低格付け層を焦点に充てたハイイールド(高利回り)債。「歴史は繰り返す」の最たる例ですね。

資金の出し手に都合の良い話=投資家の立場でオチがあるケースばかり

 そもそも、ファイナンス=金融とは、ある資金の受けて(お金が不足して必要とする当事者)と資金の出し手(余ったお金を貸す/投資する当事者)とを結ぶ金融手段の一つです。それは、大学の経済学等で既に学ぶことかと思います。それが次第に複雑怪奇になっていくと、投資銀行従事者である筆者とて今ひとつわけがわからないスキームに出来上がっていくものが世の中少なくないのは、だいたい、ファイナンスの世界で「新しいスキーム」が誕生する背景には、資金の受けて側に何らかの課題(収益性が低い=>高金利あるいは資金調達が極めて困難)があるときの新たな処方策の一つとして考案されてくるケースが多く、その為に、いろいろと小難しくする方が資金の出し手にとってその内包される本質的なリスクが見えにくくなり、都合のよいものになり、その結果、投資家が集まって資金も晴れて集まる、という構造となるといっても概ね誤りではないと思います。

 そんな歴史の繰り返しを身近に経験していると、今、米シリコンバレーをはじめ、日本のテック・スタートアップ系メディアがここぞと群がる「ICO」という概念と仕組みに、すこぶる拒否反応をしてしまうわけです。後述しますが、かつてのウォール街のうさん臭さが、今やシリコンバレーにも紛れ込んで来たな、みたいな感覚。

資金の出し手をスクリーニング=IPOの「本来の」役割だが・・・

 また、筆者はしばらくIPOのアンダーライティングで主幹事を任される機会にも複数恵まれる時期がありましたが(優秀な諸先輩や仲間に恵まれました)、それらの貴重な体験を通じて思い知らされたことは、会社が上場をするということがいかに一般社会(公共なる取引所)に対する責任が課せられるか、それまでにプライベートの組織としての意味合い(=スタートアップ/ベンチャーとVCの世界)といかに大きく様変わりをするのか、ということを、長きに渡る上場審査と上場申請後~上場承認までの細かくストレスの溜まる作業と取引所との各種折衝を通じて知り得る機会を得たわけです。また、多くの案件に遭遇する中、いわゆる「上場に相応しくない」会社ともそれなりに遭遇をする機会が多く(会計操作、反社との関係性、収益性の疑義、他)、それはやはりこと細かい審査を経て初めて見つかるものであったと痛感するものです。こうした経験から、必ずしも今のIPOの諸制度が、投資家と発行側企業の双方にとって完璧なる理想の形とはまだ言えないものの、ある種のモラルハザードに一定のスクリーニングをかける上ではそれなりの効果的な役割を果たしていると考えています。

 一方、現在進行形で躍進するICO市場は、先日の日本経済新聞にも記載されていましたとおり、法整備がまだ追いついていませんよね。そもそも、その特徴とは、主に資金の受けて側にとって優位性の高いものであり、資金の出し手にとっては、良く言えば「急成長著しいベンチャーに投資がしやすい手段」であり、一方で「ブラックボックスに投資をする」ようなもの。無論、これから目論見書の代わりとなるホワイトペーパーの精度の高さや各種法制度の整備が進めば投資家にとっての安全性は多少は高まるものの、「仮想通貨」という媒体があるからこそ、極めて不透明な要素が高いと言えます。総じて、ICOは、資金の出し手優位の発想であり(何か投資家側の観点でオチはないか?!)、IPOによるスクリーニング機能を発揮できるような要素は今のところ全くありません。

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備考:日本経済新聞より引用(一部筆者が修正)
 日米それぞれ異なる上場制度があり、一概に並行して語るのは必ずしも正確性には欠ける部分もありますが、概ね、日本の上場制度は米国の上場制度をある程度見習って作られている節があり、この際、東証の上場制度について復習しておきたいと思います。
 
 東証の上場規則には、形式基準と並び、より主幹事証券会社と取引所担当官とで1年間以上細かく精査される「実質基準」があるのはご存知の通り。前者を「有価証券上場規程第205条」に対して、後者を「有価証券上場規程第207条」と言いますが、その後者には、主に次に掲げる5つの項目があります:

1.企業の継続性及び収益性
2.企業経営の健全性
3.企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
4.企業内容等の開示の適正性
5.その他公益又は投資者保護の観点から当取引所が必要と認める事項


 これらの各項目のすべてにおいてほぼ完璧にクリア出来て初めて公共の株式取引所で売買が可能となるような上場企業として認められるわけですが、昨今の米Blue Apron社や日本で上場後最初の決算発表で想定の範囲外の赤字決算を公表し、挙句の果てには希望退職者を募るような会社を目の当たりにすると、「上場ありき」の安直なIPOが乱発して上場が再びマネーゲームの宝庫となり下がってきているようです。すなわち、上記1.4.の「企業の継続性及び収益性」「企業内容等の開示の適正性」を早々に脅かすようなIPOが増えている点はあまり望ましい状況であるとは言えません。本稿はIPOに対する見解が主テーマではありませんので、これ以上詳しくは割愛致しますが、一般投資家が”安直に”広く損害を被る世の流れは望ましくないということ。

 話をICOに戻すと、ご存知の通り、そもそも基本的な仕組みがワラント/オプションのようなものであり、さらに「仮想通貨」という未知なる/法的環境が未整備の媒体を通じた投資となれば、投資対象先である発行体そのものの事業リスクと併せて、二重の不確定要素を含有することとなります。無論、アップサイド要因に魅力を感じるということであれば、それはそれで、高リスク投資と腹をくくった投資と受け入れてしまえば、別に良いかもしれませんが、それを、老若男女、リスク許容度が限られてしまうであろう一般投資家をも幅広く対象とするIPOと同列的に考えるのは、根本的に間違っており、この点はこれから法曹界の頑張りが期待されますし、メディアもきっちりと一般大衆に伝えることが極めて望ましいと思います。かつて、筆者が1990年代半ばに日本の証券会社に就職をした際の社内研修で社員が語った1990年前後の、当時の日本のバブル経済末期でのエピソードとして「80歳前後のお年寄りのご婦人に全財産をワラントに投資することをお勧めしてゼロにさせてしまった(場内爆笑)」を思い出しますが、ICOが行きつく先がそうならないことを祈ります。

 かつて、2010年頃までか、ウォール街は金の亡者が集まる「悪」で、西海岸のシリコンバレー、テクノロジーのメッカは、ピュアな技術者が募って住みやすい世の中を形成していく人達が世界中から集まる聖地のような対比がされていましたが、今や、そのシリコンバレーがかつてのウォール街のような「金の亡者が群がる悪」なり下がっている気がします。そのしわ寄せが、古くからここサンフランシスコ近郊都市に生まれ育つ一般市民が追い出される不動産市場の高騰と、それらの現象に無頓着なシリコンバレーの空気によって顕在化してしまっているわけです。そうした中、今やこのICOがIPOの代わりとしてさまざまなキーノートスピーチが注目を浴びていますが、どことなく怪しげな空気を感じてしまうのは筆者だけではないみたいです。

 話は反れますが、このICOの形式そのものであるクラウドファンディングが、いわゆる「投資型」が施行され始め、米KickstarterやIndiegogoをはじめ、米国に追随するように日本にも複数の大手サイトが複数出始めてから既に数年が経過していますが、そもそも、株式/投資型クラウドファンディングやICOは、れっきとした「金融業」ですね。すなわち、「投資家保護」というものにしっかりと法整備が敷かれてその責務を果たす義務が取扱業者に課されてしかるべきなわけです。すなわち、いろいろと多くの「面倒くさい縛りやルール」に対処しながら、あくまで一般投資家を保護するという認識を持ち続けていくことが重要であり、適格投資家等が中心となり、ある程度のリスク許容度の高い関係者のみで形成されるプライベート市場であるベンチャーキャピタル市場とは似ているようで全く非なる世界。しかしながら、今やベンチャー界隈では、「投資型」のトレンドにここぞとばかりにこぞってこうしたビジネスに次々と進出しており、その最新トレンドがこのICO(のように映ってしまいます)。特に、クラウドファンディングのように一定の法整備があるものと比べて極めて不安定な状態であるICOが、従前のIPOに耐えられないようなスタートアップや「斬新なビジネス」が果たしてどれほど健全な状態で投資家に対する責任を果たせるのか、課題は多いと想定されます。

 いずれにせよ、昨今、シリコンバレー界隈でアクセレレータやインキュベータの代表者や身近な知人経営者等から聞かされるのは、ICOがIPOのもう一つの選択肢として並列的になっていくであろう、という見解。筆者は、違和感を感じます。
 
 このICOが果たしてどこまで投資家にとって信頼性の高い新たなプライマリーマーケット(発行体市場)となるのか、しばらく様子を見たいところです。


‐ シリコンバレー

(備考: ICOに関する参考情報:https://www.whitecase.com/publications/alert/regulation-initial-coin-offerings)
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シリコンバレーで日本企業がいつまで経っても“とん挫”するワケ

10/14/2017

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(写真:http://www.espn.com/espn/feature/story/_/id/11214487/hall-fame-quarterback-ya-tittle-takes-final-trip-home-espn-magazine)

 シリコンバレーで日本の新興系事業会社が今一つ本流の中に食い込めない主な理由について、恐らく筆者よりも既に先に多くの有識者や在シリコンバレーの実業家等からも指摘されてきていると思います。しかし、今尚、その「罠」から抜けだぜないでいるのが現状のように見受けられます。サンフランシスコ・シリコンバレーで米国インキュベータやアクセレレータ、事業会社関係者と仕事上で様々な会話をする際に、折を見て日本企業に関して具体的な名前を出してみてその評判や、当該日系企業に関する現地の声としての意見を聞いてみようとすると、大半が、「そもそも誰それ?」という答えがほとんどです(感覚的に、95%)。もしくは、ブランドは知ってはいるものの、皮肉にも、「あぁ、あの、こっちで尽く●×▲が空振りしまくって●×したアソコね・・・」という、「失敗」ケースが脳裏に焼き付く始末。因みに、それらの日系企業は、日本国内の著名テック系メディアではシリコンバレーのスタートアップシーンとの括りとなると頻繁にキーノートスピーカーを招聘するような、日本国内では立派な会社。最近筆者が再びこの手の話題をランチの合間に振ってみると、やはり、同じような会話となり、そこで話題が違うところに移る、という有様。。

 言わずもがな、かもしれませんが、以下が良く繰り返し指摘されることです(各項目いずれも相関関係があるものと思われます):

日本側本社の意思決定権限が絶大"すぎ":
‐ これは、筆者自身が、欧米外資系投資銀行勤務時代に同じ類の経験を致しましたが、要は、その国と地域の市場の特異性、ローカル性や顧客特性について最も知識のある現地採用スタッフに与えられている意思決定の権限移譲が中途半端となり、機能的にうまく実働出来ないというオチです。本来、そうした現地の有能なスタッフは、わざわざ現地からヘッドハントされてその実績や将来性を買われて雇われたにもかかわらず、彼ら・彼女らの知見を十分活かすことよりも(現地のことなど全く無知な)本社経営陣側の意思決定に結局依存せざるを得ない状態となってしまうために、結局、リソースを全く活かしきれないまま終わってしまうというパターンです。例えば、戦略的な事業進出・市場開拓を試みて日本から晴れてシリコンバレーに本社側からの有能スタッフを中心としたM&Aチームを掲げて乗り込んだところまでは良いですが、そうした有能な面々も現地では全くの素人になります。筆者もいくら日本市場でM&A/IPOの実績がトップレベルであったとしても(実際にそうであったとは言いませんが)、仮にウォール街に乗り込んだこころで、所詮、場違いな話になります(もちろん、現地にうまく溶け込んでいくことで、次第に日本で身に着けた力を応用させられる素地は出来上がる可能性は生まれてくるかもしれませんが)。恐らく、シリコンバレーに日系企業が乗り込む場合も同じパターンであると考えます。現地のことは現地を知り尽くす自社の現地採用スタッフ陣に任せることが大切であり、そこが疎かになる結果、現地の関係者からすると「???」と思わせるようなM&Aターゲットに触手して結局案の定失敗・・・というパターンの繰り返すとなります。

シリコンバレー側の駐在員チームが"希薄"
‐ 現地にオフィスがあっても、そこのスタッフ層が希薄なケース。アメリカ側の関係者からすると、「果たしてこの人達だけで何を成し遂げられるの?そもそもどこまで本社に対する意思決定権限があるの?」と、不安視されてしまうケース。そうなれば、本気モードで交渉事することに二の足を踏んでしまう米国側企業も出てきてしまう可能性は十分にあります。その結果、手中に出来そうであったような案件も、結局取り逃がすことになってしまいます。要は、シリコンバレー現地でそれなりの事業開発(良くあるケースは、シリコンバレー・サンフランシスコ一帯の地域でM&Aを仕掛けるケース)を成功裏に進めるためには、如何に諸々の点でその会社が「現地化」を果たせるかがカギを握ります。必ずしも現地から有能な人材を採用しないまでも、本社側から経営決定権限のある人物が中長期的にコミットしながら現地で時間をかけながら現地化を果たして本流に次第に溶け込んでいくことで、ディールソースが一段階充実したものになっていく可能性が高まります。特に意思決定権限のない「部長・課長」レベルの人材がどれだけ奔走しても、所詮相手には見透かされている、というところでしょうか。

こちら(シリコンバレーの大手企業・VC・有識者)のアドバイスに話を素直に耳を傾けようとしない
‐ すなわち、「プライド」でしょうか。上記1点目と重複する意味合いもありますし、次に挙げる「自社ブランドへの過信」との相関性もあろうかと思いますが、シリコンバレーで現地で頑張っていろいろと構築して行ったアメリカ側ネットワークから得られる知見や情報が戦略的に有効活用されずにお蔵入りする状態を指します。結果論に過ぎないかもしれませんが、何を決定するにも、現地で得られる知見やリソースを十分に活かさずに、本社からのご意向で意思決定が為されている文化が根強いことで、事業提携やM&A、人材の採用、ブランディング等、結局シリコンバレーのことを知らない本社の影響力が大きいまま物事が進むことで、的外れな(←現地から見て)決定ばかりとなってしまうのではないかと想像しています。
シリコンバレーの本流的なコミュニティは基本的にはとても開かれているエコシステムであると考えます。日本で見受けられるような排他性が感じられません。そして、そこに一度溶け込むことさえ出来れば、極めて有効的な情報が沢山飛び交います。そして、こちらの言うこと、考えに良く耳を傾けてくれることがほとんどです。その結果、アドバイスも非常に貴重なものであったり、こちら側が思いつかないことや角度から助言をもらえることが大半です(今のところの経験)。もちろん、そうした彼ら・彼女らに対しても同じように、こちらからアドバイスや情報を提供させていただくことも併せて非常に大切(安易な「情報交換」のことを指していません)。そのような「現地本流ネットワークからのインプット」に良く耳を傾けてみて、その価値をもう一度考え直すことも重要かもしれません。

日本国内で構築したブランドへの"過信":
‐ 日本国内では一流ブランドでも、海を渡れば全く通用しません。それは、大リーグを目指すNPBの一流選手の場合と似ている部分が多いですよね。シリコンバレー側の認知(さらに言えば、「Respect」)を得られる為には、働きかけていかない限り、得られません。しかしながら、現地シリコンバレー側の目から見ると、「自社ブランドにあまりにも身を任せた交渉をする」のが目につくと見られがちです。例えば、「我々は◎×です。我々はこうしたブランドと強みを持った会社です。従って、▲●という方針でパートナーを探しています」といったところで、シリコンバレー側の会社からすれば「Good luck!」で終わり。こちらのシリコンバレーでビジネスをしようとする会社が自分達の強みをどこまで理解してもらえて、結果何がしてもらえるのか、その部分が疎かになってしまえば、いくらブランドを醸し出されたところで、シリコンバレーのトップレベルの競合他社とは全く対等なレベルでの交渉にはなりません。前述の「相手の話を聞く力」と通じるのかもしれませんが、シリコンバレーが自分たちに何を求めているのか、そこをどう自社に活かして取り込められるか、という姿勢を貫いていく心構えが抜け落ちてしまっている為に、空振りの連続の挙句、撤退、縮小、Living-Dead状態に陥ってしまうのではないかと考えられます。

 では、成功した事例として捉えられる会社の代表の一つとして耳にするのは、ユニクロです(筆者はユニクロとほぼ同時期にサンフランシスコに成功裏に進出をされたMUJIも同様にシリコンバレーの勝ち組とみています)。さらに、最近はこちらシリコンバレーで日本のペットボトル系の日本茶を現地仕様に仕立てあげて存在感が出始めている伊藤園さんも良く好意的なお話を伺い、筆者も刺激を受けています(サンフランシスコ/シリコンバレー界隈のインキュベータや会社にビジネス等で日本から来られる方々は、こちらの自販機等に日本茶のペットボトルが用意されているのを良く目にする機会が増えてきているのが実感できると思います)。ユニクロの場合、あくまで推測ベースですが、かつて、一度米国進出を試みて失敗を経験しており、恐らく、そこで得られた教訓に進撃に受け止め、米国で受け入れられる為に必要な要素を理解し、それで、東海岸ニューヨークに旗艦店舗を旗揚げした結果、成功裏に事業が軌道にのり、その経験を今度は西海岸のカジュアルファッションのメッカであるサンフランシスコに活かすべく、2012年にユニオンスクェアの西海岸旗艦店舗を開店した結果、今も現地では多くの来店客で賑わっています。無論、時代の潮流に相まって乗ることが出来たことも功を奏したと考えられます。

 日本に拠点を置く欧米外資系企業(事業会社、金融機関)も、良く、「日本の市場にコミットしていない」「米国本社の意向が強すぎて身動きがとれない」「上司が次々と変わって長期的な戦略ロードマップが描けない」「あそこの会社はカントリーマネージャーがコロコロ変わるし方針が安定して取引したくない」という声が聞かれる会社は概ね日本でビジネスがうまくいっていない会社ばかりですが(筆者は投資銀行時代に両方を経験しました)、シリコンバレーで戦う日系企業も、全く同じ罠に陥ってしまっている、というのが実態といったところでしょうか。それらの抜け穴から脱皮できる組織が、これから躍進の場を構築していくことが出来るのかもしれません。

‐ シリコンバレー

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✬Featured Guest Post: "Not Quite the Golden Age for Japanese VC, Unless You Can Break Dance"

10/2/2017

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The following post was written by one of the most successful foreign (a.k.a. non-Japanese) entrepreneurs residing in Japan, Mr. Terrie Lloyd (see bottom for more info), in his weekly blog post Terrie's Take.

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Over the last couple of years, after an abortive fundraising effort in 2015, I've been avoiding Venture Capitalists (VCs) or attending venture conferences, feeling that the venture funding industry is Japan is all about herd instinct and stereotypes and thus a waste of time for a foreign businessperson. However, I had second thoughts after a friend suddenly couldn't make it to the latest TechinAsia event held in Tokyo during September, and he kindly asked if me if I'd like to go in his place. I thought this would be a good chance to see if the street talk I'd been hearing about how we're now in the "golden age" of Japanese venture investing was true or not.

One of the speakers at TiA was Tim Romero, who has a very good weekly blog where he interviews movers and shakers in the Japanese start-up community. Tim has been around the track a couple of times himself, and in his interviews he is relentless in getting the CEO of the moment to share their secrets and how their industry works. Tim has been quite upbeat about the Japanese venture scene, and his contributions alongside TiA and Slush (a Finnish version of TiA) would indeed give you a feeling that things are starting to improve here.

And yet among start-ups in the international community, "international"
meaning resident foreigners or regular Japanese educated in part overseas, I still see very little VC investment taking place. So what's really going on?

As a bit of background, back in 2015 and the start of 2016, I personally visited and presented to about 25 Japanese VCs, for Japan Travel KK.
Given that the Inbound market was booming I thought that the timing couldn't be better, and our early sales results proved that there is an exciting business to be had. I received 24 rejections and one smallish offer at the time, and so wound up empty-handed but a lot wiser about my strategy and what we needed to do to present a better story.
Unfortunately, I got a somewhat depressing view of the state of venture capital in Japan.

In the course of that one-year period, I found that I could group those
25 VCs into 3 types: 1) Clueless kids and salarymen and not capable of researching or deciding anything, but with money to spend on a round led by someone else. This was by far the largest group, and the lack of smaller early stage deals shows their risk aversion - which is ironic given the nature of their business. Group 2) were a much smaller cohort of smart trans-pacific bilinguals who were obsessed with Silicon Valley trends, valuations, and business results, i.e., they have a unicorn-obsession. This group has plenty of cash and an ability to lead a round, but won't touch anything unless there is a vision of global domination, which means they are making a few over-optimistic bets on CEOs good at hype. Group 3) were smaller shops with sectoral expertise but just not enough people to manage the influx of opportunities, and they were the source of the most productive discussions. But, boy, are they conservative when it comes to dealing with a foreigner...

With Japan Travel I was told by the clueless Group 1 types that they thought the Inbound travel market was too small and that the space wasn't validated because no one has led a funding in the space (which is still true today). And yet, if they bothered to do some research (or to read our presentation), they would have seen the tell-tale signs of a major boom market. Now, in 2017, the Japanese Government says that the Inbound market is worth about JPY3trn in on-shore spending alone. My guess is that total spending on travel to Japan is around JPY5trn a year.

With the Group 2 "size matters" crowd, our focusing on one country meant lack of scalability and therefore an inability to feed their egos.

With the Group 3 realist group, the focus was on my foreigness, my age (not being in my twenties and thus being easy to take advantage of), and the company valuation - they didn't like the fact that we'd already spent half a million dollars developing the systems and capabilities of the company, even though this is a pittance compared to U.S. companies doing similar types of business.

In the end, I decided to continue bootstrapping, developing the business beyond just a portal and into an integrated travel solution provider. To do so, I have done small "friends-and-family" rounds and steadily put the pieces in place. You will have seen the occasional ads in Terrie's Take for each round we've raised (a big "thank you" to our investors).

So, back to TiA, I was interested to see if Tim was right that the VC scene has changed, and whether, as the TiA organizers were spruiking, we're in a Golden Age.

The TiA event took place over two days, held at the La Belle Salle Shibuya Garden building at the top of Dogenzaka in Shibuya - a suitably fashionable location. I showed up on Wednesday morning, registered and made my way in to listen to Dave Corbin, TiA's Japan CEO, give the opening address. There were about 400 people in the audience (my estimate), a pretty good number considering the tickets cost JPY15,000 for the public and JPY60,000 for investors. The attendees were a 30/70 mix of foreigners to Japanese, with most of the foreigners coming from Asia.

You could see that the representation matched Japan's influence around the region, with the biggest delegations being from Indonesia, Malaysia, Vietnam, and Thailand. Certainly I'm aware of an expanding number of Japanese VC funds who are targeting their investments in these countries because of the lack of U.S. and European competition and also because of the rapidly expanding economies there.

I personally found the TiA lineup of speakers to be disappointing, revealing little about how to get things done, and over-focusing on validating the VC market in Japan. This is unfortunate, because from my many discussions with attendees, most people where there for two things
only: networking and funding. Yes, there was a "Speed Dating" section for pre-reserved meetings with Japanese VCs, but it was obvious that demand (by start-ups) outstripped supply and that the quality of supply of VCs was poor enough that TiA should seriously re-think its approach to Japan. In particular, it needs to help educate VC firms here how to prospect and build relationships with non-Japanese start-ups.

In spending some time hanging around the Speed Dating area, listening in on some of the conversations and getting a feel for whether Japanese VC has improved, I got the impression that things are still pretty pathetic. What I saw is kids from the VC departments of larger Japanese wannabee VC companies interviewing other kids who want to fund their start-ups. There was a definite lack of expertise, experience, and structure on both sides. For foreign start-ups, the interactions were made worse by major language and knowledge gaps. I came away thinking the following three things:

1. Low-grade human resources. Why are Japanese VCs willing to put their least experienced people into an environment where they are picking winners from losers? Having someone with little practical business experience and inability to evaluate technology isn't going to result in competent screening of prospects from a single meeting.

2. Poor screening process. One assumes that to be meaningful, most Japanese VCs are at least investing JPY20-JPY30m per firm, and this money doesn't grow on trees. For sure after the initial screening the investment will go in front of a committee, but when you are having a low-experience person with no screening structure or understanding of what the other party does, this significantly reduces the quality of deals for committee review, and a higher chance of loss of the investing company's assets. We can see the results of this in the poor returns that most Japanese VCs have (and perhaps why companies don't put their best people in those teams).

3. Low ability to think out of the box. I approached the Fujitsu booth on the behalf of a friend's software company, and found out that the staff really weren't interested in a business that was outside their frame of reference, even if the investee agreed to use their cloud platform and technology stack - which surely is the reason why Fujitsu even has a venture fund in the first place. Instead, they were there to hand out flyers and pens, and seem to have another more obscure process for making decisions on investment.

So, yeah, I didn't get a very favorable impression of the quality of VCs present, and it was disappointing to see foreign startups attracted by the TiA hype, try to figure out what the speed dating investor was really saying to them. Pretty much it was in the "We'll keep you hanging on until you stop calling us," ilk. I did also talk to several other more seasoned Japanese entrepreneurs there, whom I know, and they candidly shared that they were just going through the motions rather than expecting anything concrete to come out of the meetings.

To be fair, the TiA event was a good place to meet other start-ups, and there were several in the tourism sector who were very interesting. They may not find a source of funding in Japan, but hopefully other business opportunities will help justify the cost of attending the show.

I realize that TiA does not represent the whole universe of Japanese venture capital, and there were many active players in the market who didn't show up. But nonetheless, what I did see reminded me that the Japanese VC community is still immature and prone to risk-aversion - meaning that there will be precious few unicorns or even tech IPOs coming out of this market. While Softbank with its super fund is shaking things up and is making the overall sector numbers look pretty juicy, the reality is that Softbank is targeting much bigger investments in much later-stage companies, and current industry data is very skewed.
The fact is that VCs are still not doing much for real startups here.
Especially if you are not in your 20's, Japanese, and have a talent for PR and breakdancing (yes, a security firm CEO started his pitch this way).

================================
Source:  http://www.japaninc.com/tt916_not-quite-the-golden-age-for-Japanese-VC 

About Mr. Terrie Lloyd:
Terrie Lloyd is a 54-year dual-national of Australia and New Zealand, who has lived in Japan for 29 years. A "self-made man" in the truest sense, he formed his first company while in Japan on a working holiday visa at the age of 25. Since then, he has established another 18 companies of his own and many others for clients.
Lloyd has brought his investors 8 successful earn-outs: LINC Computer in Japan and Techman in Hong Kong sold to EDS in 1995, the Web division of LINC Media sold to Chinadotcom in 1999, Layer-8 Technologies spun out to ThetaMusic in 2003, DaiJob Software Inc. sold to Nikko Principal in 2004, DaiJob Inc. sold to Human Holdings in 2005, and Esphion Ltd. in New Zealand sold to Allot Communications Inc. of Israel in 2007. He is currently the founder of JapanTravel.com, one of the premier Japan inbound travel destination and travel agency.
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日本の起業エコシステムの変わらぬ盲点

8/28/2017

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(写真:米サンフランシスコのCo-Workingスペース<Runway Incubator>にて撮影。)
国内ベンチャー投資関係者や、起業家、スタートアップの面々とディスカッションをさせて頂く機会がここ2,3か月増えていますが、各種公表数値があらわすデータとは少々異なる事象を耳にすることが多くなりました。それは、日本国内のベンチャー関連投資全体に占める「創業期~シード段階のエンジェル/シード投資」比重が欧米と比べて極めて少ないという悩ましい点です。

最近、巷では、日本のVC投資がここ数年の中でも活発化し、以前と比べてスタートアップにとってファンドレイズに主眼を置いた起業環境はかなり好転している会話を良く耳にします。具体的に国内で運用されるVC総額、投資額とも5年前と比べてもかなり大きくなり、日本においても欧米並みのリスクマネーが豊富になったとの考え方のようです。筆者がVC投資に関わり始めた今から10年前であれば、国内VC投資の1件あたりの投資額の平均は1億円にも満たないもので、3億円であればかなりの大型ファンディングに受け止められるような世界でした。それが、今では、最低1億円、大型投資であれば1件あたり10億円もそれほど珍しくなくなったというのが、今尚国内VC投資に従事をされる面々のコメント。
しかしながら、それはほんの一握りのテーマに沿った一部のスタートアップに集中している結果であり、必ずしも全体がその恩恵を受けているとは到底考えられないのが現状のようです。つまり、「右を倣え」の如く人気案件に一極集中し、それ以外は閑散とした状況であるということ。

スタートアップ(スモールビジネスを含まず、あくまで5年‐7年以内にIPOやM&A等で一定規模以上の成長カーブを想定したベンチャー企業を指します)が創業されて、事業が0から1へ、そして1から10へ成長していく過程で、何度か外部投資家からの出資を行うケースが一般的ですが、大まかに時系列に列挙すると次のようなイメージになろうかと思います:

  1. 立ち上げ間もない、アイディアをOから1に具現化していく、いわゆる「ゼロイチ」ステージ
  2. プロトタイプ、MVP(Minimum-Viable-Product)が出来上がるまでの初期ステージ
  3. MVPが完成し、ある程度の材料が揃ってこれから精力的に営業活動をかけたいステージ
  4. ステージ3を経て成長カーブを描き始めるステージ
  5. ステージ4を経て、資金繰りサイクルが安定し、さらなるスケールアップを加速していくステージ
  6. Pre-IPO、グロース・ステージ・・・

このうち、ステージ3~ステージ5(並びにPre-IPO迄)に対しては、日本でもそれなりに潤沢なVC投資資金があるようですが、”まだ右か左か見極めがつけられにくい”1~3段階の立ち上げ期のスタートアップにとって、支援体制含めてファンドレイズの相手にされるケースは極めて希薄のようです。このことが、未だに多くの起業家予備軍の心理的な壁となっているのが複数の起業家やスタートアップ創業者の口から良く耳にします。シリコンバレーでも、”まだ右か左か見極めがつけられにくい”1~3段階の立ち上げ期のスタートアップに対してVCが積極的に投資を行うケースは確かにそれほど多くはありませんが(あっても、実績のある起業家が創業した場合に限られたり、よほど面白い、等)、同時にそれらを補うエンジェルやシードマネー、コーチング/メンタリングもそれなりに存在します。その結果、日本と比べて米国内の創業期のスタートアップにとっては各段に環境は整備されており、それこそ、本当の意味での「リスクマネー」が欧米と比べて日本では全く存在しないに等しいと表現してもあながち大きな誤りでは決してないと思います。

日米のベンチャー投資に関する興味深いデータとして、以下を上げたいと思います:

  • 2013年米国エンジェル投資額248億米ドル(約2.7兆円)
  • 同件数71,000件
  • 1件あたりエンジェル投資ラウンド規模:950千米ドル(約1億円)
  • VC投資総額296億米ドル(約3.3兆円)
  • 対VC投資額比率:81%
(備考:米国Angel Capital Association公表データ、平成27年3月公表NRI「起業・ベンチャー支援に関する調査」より)

  • 2011年日本国内エンジェル投資額9.9億円
  • 件数45件
  • 1件あたり未公開企業投資ラウンド規模(中央値):7,250万円(2014年)
  • VC投資総額1,240億円
  • 対VC投資額比率:0.8%
(備考:第2 回経済財政諮問会議(平成26 年2 月20 日)資料5-2より)

単純に数値を横比較するだけでは必ずしも正しいとは言い切れませんが、上記のデータを見てもわかる通り、ベンチャー投資全体に対する創立間もない初期のエンジェル~シード投資の比重が、米国と比べてあまりに小さいことが如実に物語っています。これこそ、日本国内でテーマ的にも地理的にも幅広い起業家層が中々育たない大きな足枷要因となっていると考えられます。この、「空洞スペース」をいかに日本のスタートアップ・エコシステムが埋め合わせをしていくことが出来るかが、引き続き今後の課題であるように思えます。

米Wildcard Incubatorは、この、「創業期~MVP完成/初期マーケティング/プレ・シリーズA」フェーズのスタートアップや起業家で米国での本格展開を目指すクライアントを米国と日本とで地道に泥臭く後方支援していくことで、貴重な役割を果たすことをこれからも目指します。
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“ウォール街化”した今のシリコンバレー・・・

7/13/2017

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(写真提供: https://www.renaissancerecoverycenter.com/addiction-downward-spiral/)
<久々のブログ更新です>
- 皆さんもご存知の通り、今、シリコンバレーではかつてないほどの”モラルハザード”が露呈しています。UberのCEOの事実上の更迭をはじめ、新興VC勢力の一角のVCファンドでも軒並み創業パートナーがこちらも事実上の更迭を強いられる事態が異常な頻度で起きています。これらのファンドの多くは、FacebookやZinga等(もうすっかり懐かしい名前ですね・・・)、それまでの半導体やコア・テクノロジー系といったシリコンバレーの主流をなしたコテコテの技術系スタートアップから、次第にソーシャル系・サービス系のスタートアップが勃興し始めた2010年前後以降に勢いよく成功裏に設立されたファンドが多くを占めています。それらのファンド設立者も概ね2000年代を通じてPaypalやFacebook、Google等で中心的なプロジェクトのエンジニアとして働いた経験のある30代~40前後のパートナー達が中心を成しています。

これはもちろん時代の流れそのものであり、こうした彼らに投資資金を委ねて次なる「Next Big Thing」の恩恵を受けようと、多くの資金が集まりやすくなってきたというのが背景にありますが、総じて、筆者がシリコンバレーでインキュベータとして、そして、さまざまな事業会社やスタートアップと仕事を手掛ける中で感じることは、彼らとの会話の中心が「いくらお金儲け出来るか」であり、投資対象であるスタートアップや起業家のアイディアがどう人々の生活や課題に良い影響をもたらすのかといったところに以前ほど重きが置かれていないように感じる点です。これは、2000年以前や2010年以前頃までのシリコンバレーではあまり考えられない傾向です。実際に、日本においても全く一緒ですが(むしろ日本のほうが顕著・・・)、VC同士の会話でまず先に出る一言が「何か儲かる話ない❓」であり(特に実際、日本のVC界隈でこの言葉を良く耳にします)、まるで、投資銀行マンのような発想しか持たないような人間が増えてきている証拠に思えます(かつて投資銀行業界に身を置いた筆者が痛感)。こうした発想の投資家の多くは、トレンドばかり追いますが、純粋に起業家と向き合ってその発想と着眼点を冷静に深く洞察しようとする要素が欠如しているとの印象を受けます。その結果、猫も杓子も同じような投資ばかりに奔走し、従来VCが果たしてきた役割である、次世代を担うテクノロジーやサービス、アイディアに投資をするという部分が軒並み低下してきているように思えます。いわば、ウォール街化したシリコンバレーと言えます。そうした風潮が加速していく中、今回の悪しき風習が次々と明るみになってきているというところに、お金ばかり追い求めるあまり、それ以外の、より大切な要素を置き去りにしてしまっている傾向を読み取ることが出来ます。

本来、そのような若きキャピタリストに大金を預けるLP(Limited Partner=有限責任者・・・出資者)が、ある意味、ファンド(すなわち、その運営者であるGP)を監視・モニタリングをすべきなのですが、それを怠ってきている点が、この悪しき風潮のようなものを許容してしまった大きな原因の一つであると考えます。無論、モラルや常識とお金への腐心とが完全に相関関係を成すとは限りませんが、要は、キャピタリストの素性や人間性、素質をもっとじっくり事前に吟味をしてから出資をすることが本来求められるはずが、その部分が形骸化してしまった為、結果として、現状を導いてしまっているものと推察されます。

ましてや、ベンチャーキャピタリストの大切なスキルとして求められるものとして、「起業家の素質や人柄を見抜く」というものがあります。凄腕エンジニア気質として技術がいくら理解を出来ていても、コンサル上がりの「経営フレームワーク」の操り方に長けていても、ファイナンスについていくら知識が豊富なキャピタリストでも、この、「起業家の素質や人柄を見抜く」という本質的な素養がなければ(あるいは養わなければ)結局はキャピタリストは全く務まりません。そもそも、"ハンズオン投資”に求められるキャピタリストの大きな役割の一つは、経営者・起業家をきちんとモニタリングをすることです。そんなキャピタルストが本来求められる中、当事者がこんな有り様では、まぁ世間からは三行半を突き付けられますよね。もちろん、一部の事象で全体を判断することは正しいアプローチではありませんが。

VCとは、もともとは泥臭く、人間臭く(良い意味で)、ウェットな要素が大きい職種であると捉えていますし、これからもそうあり続けるであろうと思います。しかしながら、今のシリコンバレーをはじめとするスタートアップのダイナミックスにおいて、この部分が少し取り残されたまま、それ以外の部分ばかりが進化ばかりしているような気がします。もう一度原点に立ち返る時期にあるのかもしれません。そして、前述の通り、VCが起業家やスタートアップをモニタリングを行うのと同様、VCへ出資金を拠出するLP出資者(個人、事業組織等を問わず)も、自分達がお金を預けるファンド運営者たちをもっときっちりとモニタリング機能を果たすべきです。そして、キャピタリストが若年化する今、キャピタリストを「育てる」という役割も再び必要となると思います。恐らく、今、シリコンバレーではその部分が欠けてしまっているということを伺わせる最近の出来事です。

そして、起業家やスタートアップの皆さんも、自分達に投資をする投資家がどういう人達か、逆にデューデリジェンスを行うようにしましょう。
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