写真出所:米Business Insider2018年9月18日付記事”We tried the first lab-grown sausage made without killing animals-”。昨年2018年9月に米サンフランシスコのバイオ系主要アクセレレータであるIndie Bioにて開催されたNew Age Meat社によるメディア向け試食会にて、実際に試食された同社Cell-cultured-porkの写真。
先日、米国Nasdaq株式市場に話題の培養肉(”Cell-Cultured Meat”)スタートアップのBeyond Meat社がついに華々しく上場を果たしたことで、改めてフードテック、フードバイオ分野に注目が集まっていますね。
培養肉+植物性肉は、NOSH領域(Natural/Organic/Sustainable/Healthy)のSustainable/Healthyに該当するかと思われますが、同社は2009年に創業され、大手食品メーカーであるTyson Foods社をはじめ、上場までに合計8~9ラウンド(~シリーズH)の投資ラウンド、US$122millionを成功裏に集めています。
当該分野は、既存の動物性の肉を使用した従来の肉から、動物愛護的な観点及び地球環境の持続性(=サステイナビリティ)等といった近年多様化、変遷する価値観のトレンドに乗じてフード分野の大きなセグメントとなっており、Beyond Meat以外にも、Impossible Foods社(設立2011年、2019年5月現在投資額US$687.5million)Perfect Day社(同2014年、US$61.5million)、Clara Foods社(同2015年、US$16.8million)、Seattle Food Tech社(同2017年、US$2.1million)等があります。日本国内においても、Integriculture社がこの分野の注目スタートアップとして話題になっていますね。
全世界で当該市場は2021年にはUS$15.5Millionに到達すると予想され、2027年にはUS$20Millionに到達すると予想されています(⋆)。また、VC等からの投資額は過去10年間(2009年~)に大凡US$16Billion(約1.7兆円)にのぼり、特に顕著なのがそのうち$13billionがここ2年間に集中している模様である点。いうまでもなく、前述のユニコーン的なスタートアップがシリーズC~Fあたりの時期に差し掛かったことで、アーリーVCよりもレーターステージ/グロースフェーズの投資ファンドが挙って投資を実施したことが金額を押し上げている主因の一つであろうかと考えられます。
そうした中、2019年に注目したいのが、New Age Meat社です。彼らは、2名の理系創業者によって2018年6月に設立されたばかりで、筆者も当事者のうちの一人の創業メンバーとは会社設立直前の段階から親しくする機会に恵まれましたが、彼らとは、米シリコンバレーの代表的なバイオ系アクセレレータのIndie Bioのコミュニティで接点が生まれました。2019年5月現在、公表資料ベースでUS$250K集めており、Indie Bioからの卒業と共に、これから大きく飛躍していこうという段階に差し掛かったところです。
同社は、牛肉(”Beef”)ではなく、「豚肉(“Pork”)」に焦点を当てている点がさり気なく新鮮な特徴であり、既存の豚肉(具体的には、ソーセージ)の代用として、より「衛生的にもクリーン」で「倫理的にも望ましい条件下で育てられた」全く新しい“豚肉”を我々の食卓にもたらしていくことを目指して開発及び商品化に向けて本腰を入れて行くこととなります。世界の大型家畜産業(農業)は地球温暖化の主な原因のうち15%を占めると考えられており、これは、自動車や交通機関等による排ガス等からのインパクトよりも大きいと見られていますが、同社はその影響を少しでも改善されることを目指してこの事業に取り組み始めているそうです。
彼らの大きな特徴の一つとされるのは、彼らが豚の「脂肪筋肉(fat cells)」と「筋肉細胞(muscle cells)」との2つの要素を活かした代用肉の開発に着手している点。既に培養肉分野は競争激化状態にありますが、これからは、牛肉や豚肉から、今年から遅くても2020年頃までには魚の肉の培養肉までが次々と世の中に出てくることが予想されます。しかしながら、一方では、前述のBeyond Meat社も晴れてIPOを成功裏に成し遂げた今、正にこれからは上場企業としてその時価総額の実証へのプレッシャーと、持続的成長への高い期待に応えていかねばならない高いハードルに対応して行くことが求められます。Beyond Meatの結果次第では、その後の培養肉スタートアップへの投資資金の流れやメディアの取り扱い方に多少なりとも影響は出るものと思われます(Blue Apron社の失敗がまだ記憶に新しい)。そうした中、New Age Meatがどう成長していくか、2019年度は興味深く見守って行きたいです。
出所:MarketsandMarkets™ - Cultured Meat Market by Source (Poultry, Pork, Beef, Duck), End Use (Nuggets, Burgers, Meatballs, Sausages, Hot Dogs), and Region (North America, Europe, Middle East & Africa, South America, Asia Pacific) - Global Forecast to 2027
培養肉+植物性肉は、NOSH領域(Natural/Organic/Sustainable/Healthy)のSustainable/Healthyに該当するかと思われますが、同社は2009年に創業され、大手食品メーカーであるTyson Foods社をはじめ、上場までに合計8~9ラウンド(~シリーズH)の投資ラウンド、US$122millionを成功裏に集めています。
当該分野は、既存の動物性の肉を使用した従来の肉から、動物愛護的な観点及び地球環境の持続性(=サステイナビリティ)等といった近年多様化、変遷する価値観のトレンドに乗じてフード分野の大きなセグメントとなっており、Beyond Meat以外にも、Impossible Foods社(設立2011年、2019年5月現在投資額US$687.5million)Perfect Day社(同2014年、US$61.5million)、Clara Foods社(同2015年、US$16.8million)、Seattle Food Tech社(同2017年、US$2.1million)等があります。日本国内においても、Integriculture社がこの分野の注目スタートアップとして話題になっていますね。
全世界で当該市場は2021年にはUS$15.5Millionに到達すると予想され、2027年にはUS$20Millionに到達すると予想されています(⋆)。また、VC等からの投資額は過去10年間(2009年~)に大凡US$16Billion(約1.7兆円)にのぼり、特に顕著なのがそのうち$13billionがここ2年間に集中している模様である点。いうまでもなく、前述のユニコーン的なスタートアップがシリーズC~Fあたりの時期に差し掛かったことで、アーリーVCよりもレーターステージ/グロースフェーズの投資ファンドが挙って投資を実施したことが金額を押し上げている主因の一つであろうかと考えられます。
そうした中、2019年に注目したいのが、New Age Meat社です。彼らは、2名の理系創業者によって2018年6月に設立されたばかりで、筆者も当事者のうちの一人の創業メンバーとは会社設立直前の段階から親しくする機会に恵まれましたが、彼らとは、米シリコンバレーの代表的なバイオ系アクセレレータのIndie Bioのコミュニティで接点が生まれました。2019年5月現在、公表資料ベースでUS$250K集めており、Indie Bioからの卒業と共に、これから大きく飛躍していこうという段階に差し掛かったところです。
同社は、牛肉(”Beef”)ではなく、「豚肉(“Pork”)」に焦点を当てている点がさり気なく新鮮な特徴であり、既存の豚肉(具体的には、ソーセージ)の代用として、より「衛生的にもクリーン」で「倫理的にも望ましい条件下で育てられた」全く新しい“豚肉”を我々の食卓にもたらしていくことを目指して開発及び商品化に向けて本腰を入れて行くこととなります。世界の大型家畜産業(農業)は地球温暖化の主な原因のうち15%を占めると考えられており、これは、自動車や交通機関等による排ガス等からのインパクトよりも大きいと見られていますが、同社はその影響を少しでも改善されることを目指してこの事業に取り組み始めているそうです。
彼らの大きな特徴の一つとされるのは、彼らが豚の「脂肪筋肉(fat cells)」と「筋肉細胞(muscle cells)」との2つの要素を活かした代用肉の開発に着手している点。既に培養肉分野は競争激化状態にありますが、これからは、牛肉や豚肉から、今年から遅くても2020年頃までには魚の肉の培養肉までが次々と世の中に出てくることが予想されます。しかしながら、一方では、前述のBeyond Meat社も晴れてIPOを成功裏に成し遂げた今、正にこれからは上場企業としてその時価総額の実証へのプレッシャーと、持続的成長への高い期待に応えていかねばならない高いハードルに対応して行くことが求められます。Beyond Meatの結果次第では、その後の培養肉スタートアップへの投資資金の流れやメディアの取り扱い方に多少なりとも影響は出るものと思われます(Blue Apron社の失敗がまだ記憶に新しい)。そうした中、New Age Meatがどう成長していくか、2019年度は興味深く見守って行きたいです。
出所:MarketsandMarkets™ - Cultured Meat Market by Source (Poultry, Pork, Beef, Duck), End Use (Nuggets, Burgers, Meatballs, Sausages, Hot Dogs), and Region (North America, Europe, Middle East & Africa, South America, Asia Pacific) - Global Forecast to 2027