Picture Courtesy: The Business Insider
先般、VCの多くがオフィスを構えることで知られる<VCのウォール街>ことサンドヒール・ロード(Sand Hill Road)に隣接をする、シリコンバレーのいわゆる大手老舗ベンチャーキャピタリストで同ファンドの投資チームを統括するMD(マネージングディレクター)の一人の人物と会う機会がありました。彼らは設立約30年近い歴史があり、当初はアメリカ国内の某大手大企業のベンチャー投資/プライベート・エクイティ部門からスピンアウトされた部隊で、この10月には新たに設立された第10号ファンドを含めて$4BNの投資額を現在運用をし、これまでに累計で150社以上のExit(IPO/M&A)を果たしています。北米はもとより、イスラエル、アジアではインド等に拠点を構えており、彼らのLPには、日本企業も少なからず含まれているようです。そのため、当初はほとんど日本に足を踏み入れたことがない人物のような印象をこちらが勝手に抱いていたものの、最近では2012年に日本に滞在をしていたようです。LPとの会合ということでしょう。
そんな彼らにとって、日本のスタートアップは全く目にも留まらない存在であるとのこと。彼から出てくる言葉とは:
- "なぜ米国に来る必要あるの?"
-"日本の市場でがんばればいいのでは?"
-"シリコンバレーは競争が激しいのに、わざわざここに来ても仕方ないと思うよ・・・"
-"ここ数年、日本の新興企業や上場企業が来ているけれど、皆道半ばで去って行くよね・・・"
いずれも、言葉の裏には「日本は劣っている」というメッセージが色濃く含まれているようでした。彼の言葉を引用すれば「There is no high caliber startups from Japan」。こうした見られ方が周知の事実であるとはいえ、やはり残念です。日本でも一昔以上に優秀な面々が組織を離れて起業をする傾向が強くなっており、彼らは決して欧米の起業家と比べて引けを取らないものも少なくないと思います。ただ、海を渡って北米で事業を展開してみようというところまで足を踏み入れている方々は非常に少ないということですね。母数が少なければ、先の米国VCのような存在にはその質がどのようなものかがきちんと伝わらないというのは仕方ないことかもしれません。また、上記の言葉でもう一つ印象に残るのは、「道半ば」「フェイドアウト」というニュアンスの言葉であり、そこには「長期的なプラン」や「ここで長く生存する覚悟がない」という印象を抱かれているように思えたことです。
しかし、こういう見方を1日でも早く、180度変えさせてみたいものです。北米、特にシリコンバレーは日本と比べて市場規模と数の面で日本よりも競争が激しいというのは事実ですが、レベルが高いかといえば、分野や個々の内容によって千差万別であり、決して一律にシリコンバレーの起業家が全て優秀とは必ずしも思えません(非常に優れた方々はいらっしゃいます)。むしろ、日本のサービスより荒削りに思えたり、細部に至ったこだわりに劣ると思えたりするものです。あるいは、最近流行りのFinTechに関しては、15年前の日本でFelicaやSuicaが出始めた頃の方がよほど衝撃的であったことを思い出してしまうくらいでしょうか。恐らく、市場への導入のタイミングや、マーケティングの方法等でシリコンバレーが得意とする部分があるのかもしれませんが、一つ言えることは、「いかに良く見せるか」という部分でまだ我々には工夫の余地があるのかもしれません(ユーザー/お客様の満足が一番大切であることは言うまでもありませんが)。
米国のスタートアップのエコシステムの中に身を置くと感じることですが、とかくスタートアップを手掛ける日本人の存在が薄いということ。それは、中身の問題ではなく、数の問題です。単純に比較する問題ではありませんが、中国やインド、最近ではシンガポールやベトナム、そしてアジア諸国以外であればチリや南米からの起業家と接する機会がここ3年間で増えた印象を抱きます。そして、同じ日本の起業家の方々からよく聞く言葉が、言葉の問題。しかし、こちらではブロークンイングリッシュの方々はむしろ多いです。言葉というファンダメンタルな部分にあまり固執しすぎず、こちらの市場を狙うしっかりとした動機さえあれば、もっとチャレンジをして良いのではないかと思います。無論、言葉の壁を乗り越えるだけで全てが解決するわけではありませんが、それはまた別の機会に触れたいと思います。
- 米国
そんな彼らにとって、日本のスタートアップは全く目にも留まらない存在であるとのこと。彼から出てくる言葉とは:
- "なぜ米国に来る必要あるの?"
-"日本の市場でがんばればいいのでは?"
-"シリコンバレーは競争が激しいのに、わざわざここに来ても仕方ないと思うよ・・・"
-"ここ数年、日本の新興企業や上場企業が来ているけれど、皆道半ばで去って行くよね・・・"
いずれも、言葉の裏には「日本は劣っている」というメッセージが色濃く含まれているようでした。彼の言葉を引用すれば「There is no high caliber startups from Japan」。こうした見られ方が周知の事実であるとはいえ、やはり残念です。日本でも一昔以上に優秀な面々が組織を離れて起業をする傾向が強くなっており、彼らは決して欧米の起業家と比べて引けを取らないものも少なくないと思います。ただ、海を渡って北米で事業を展開してみようというところまで足を踏み入れている方々は非常に少ないということですね。母数が少なければ、先の米国VCのような存在にはその質がどのようなものかがきちんと伝わらないというのは仕方ないことかもしれません。また、上記の言葉でもう一つ印象に残るのは、「道半ば」「フェイドアウト」というニュアンスの言葉であり、そこには「長期的なプラン」や「ここで長く生存する覚悟がない」という印象を抱かれているように思えたことです。
しかし、こういう見方を1日でも早く、180度変えさせてみたいものです。北米、特にシリコンバレーは日本と比べて市場規模と数の面で日本よりも競争が激しいというのは事実ですが、レベルが高いかといえば、分野や個々の内容によって千差万別であり、決して一律にシリコンバレーの起業家が全て優秀とは必ずしも思えません(非常に優れた方々はいらっしゃいます)。むしろ、日本のサービスより荒削りに思えたり、細部に至ったこだわりに劣ると思えたりするものです。あるいは、最近流行りのFinTechに関しては、15年前の日本でFelicaやSuicaが出始めた頃の方がよほど衝撃的であったことを思い出してしまうくらいでしょうか。恐らく、市場への導入のタイミングや、マーケティングの方法等でシリコンバレーが得意とする部分があるのかもしれませんが、一つ言えることは、「いかに良く見せるか」という部分でまだ我々には工夫の余地があるのかもしれません(ユーザー/お客様の満足が一番大切であることは言うまでもありませんが)。
米国のスタートアップのエコシステムの中に身を置くと感じることですが、とかくスタートアップを手掛ける日本人の存在が薄いということ。それは、中身の問題ではなく、数の問題です。単純に比較する問題ではありませんが、中国やインド、最近ではシンガポールやベトナム、そしてアジア諸国以外であればチリや南米からの起業家と接する機会がここ3年間で増えた印象を抱きます。そして、同じ日本の起業家の方々からよく聞く言葉が、言葉の問題。しかし、こちらではブロークンイングリッシュの方々はむしろ多いです。言葉というファンダメンタルな部分にあまり固執しすぎず、こちらの市場を狙うしっかりとした動機さえあれば、もっとチャレンジをして良いのではないかと思います。無論、言葉の壁を乗り越えるだけで全てが解決するわけではありませんが、それはまた別の機会に触れたいと思います。
- 米国