この、北米中西部に位置するクリーブランド市は、オハイオ州の主要都市のひとつですが、10年ほど前から、オハイオ州政府(State of Ohio)が中心となって、全米国内はもとより、日本を含めた海外からの起業家の承知に積極的な姿勢を見せることで知られています。余談ですが、筆者が所属する東京の株式会社リンクメディアの代表取締役社長であり、バイリンガル転職サイトで有名な「DaiJob.com」や2000年頃の第1次IT起業ブーム聡明期に日本の英語圏のビジネスパーソンに幅広く愛読された「J@pan,Inc.」誌の創刊者である、日本における外国人起業家として著名な存在であるテリー・ロイド氏は、日本におけるこのState of Ohioの玄関窓口として長年その役割を果たしてきています。
そんなクリーブランド市とWildcard Programは、過去に遡るプロジェクトを通じて、実は同市と非常に距離は近く、また今後そのようなご縁を大切にしながら、ビジネスの可能性を探っていきたいと考えます。<シリコンバレー×クリーブランド>・・・こんな妙な組み合わせはほかにはなかなか見当たらないのではないでしょうか?・・・
クリーブランド市は、シリコンバレーやNYC、ボストン、南部テキサス州オースティン市等と比べてやや地味な存在ではあるものの、Cleveland Clinicをはじめとする全米屈指の病院機関が位置することで、昨今シリコンバレーでも勢いが持続している<デジタルヘルス>分野ではこの地域は、ボストンやサンフランシスコ、ノースキャロライナなどと並び非常に重要な拠点の一つと言えると思います。あるいは、北米市場でビジネスをとらえる際に、どこを狙うのかによって必ずしも答えは一つとは限りませんが、総論としては、シリコンバレーやNYCといった、我々に情報が比較的得やすいごく一部の“震源地”的な大都市だけを見て近視眼的に米国経済を読み解こうとせず、クリーブランド市や同じくオハイオ州の主要都市で同州の州都でもあるコロンバス市などを代表するMiddle-Americaと呼ばれる、海岸沿いを除く同大陸の内陸地域の動向にもしっかりと目を向ければ、実はシリコンバレーだけ追っていると案外気付かなかったりするような、より大きな社会の潮流を読み解くヒントが得られる可能性を秘めていると思います。例えば、我々が良く知るPinterestの成功事例は良い例の一つといえます。同サービスは、中西部の中流階級層の女性層が同サービスを利用する火付け役となったとされています。詳細の分析はここでは割愛するとして、同社は、決して特別“Geeky”な、ガジェット好きな層がビジネス/ユーザー拡大に貢献したのではなく、ごく一般的な(この場合、前述のガジェット好きな層との対比として)女性層が日常生活の娯楽・趣味の延長線上に、このPinterestがうまくはまったことで、全米中にじわじわと広がっていき、そして現在の地位を確立したといわれています。そのほか、中西部には、最近また水面下で動きが出始めているAgri-business(農業系新ビジネス)なども、このあたりに震源地がありそうな予感がします。
シリコンバレーだけでなく、このような中西部の代表的な都市にも足を伸ばすWildcard Programは、北米を見据えた事業展開を試みる際、ほかのインキュベーターとは一味も二味も違う商流を開拓する基盤が整いつつあります。
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