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…実は40年前からもう既に「代用肉」は始まっていた⁉~米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<New Protein編>

5/30/2019

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写真提供元:http://cok.net/blog/2019/01/lightlife-serves-bleeding-vegan-burger 


米Beyond Meat社が先般米Nasdaqに華橋く上場をしてから、Impossible Foods社のUS$300Millionの追加投資をはじめ、米国の培養肉・植物性肉等、いわゆる”New New Protein”分野は活気を帯びっぱなしの情勢が続いている様子ですが、この植物性肉=Plant-based Meatの概念および取り組みは、実は昨今のFood Startupのトレンドとして話題沸騰する実に40年以上も前から、具体的に始まっていたようです。

米国東海岸マサチューセッツ州に本社を置くLightLife社は、1979年に創業された植物性肉のブランドで、今年2019年は創業40周年を迎えたこととなります。同社は、30種類もの商品を販売しており、2000年に米食品加工ブランド大手のConagra Brands社に買収され、その後、投資会社の傘下入りを経て、2017年カナダの大手食品加工メーカーのMaple Leaf Foods社にUS$140 Millionで買収されました。これは、この前のBeyond Meat社の時価総額の約10分の1程度。尚、1997年のConagra社への売却当時、従業員は90人程度、年商約US$25Million(≒25億円)であった模様。

同社ウェブサイト: https://lightlife.com/ 

同社の肉は、”Pea-Protein”すなわち、エンドウ豆由来の肉を使用しているとのこと。曰く、彼らのLightLife Burger一個につき、”20gのタンパク質を含み、コレステロールは含まず、大豆、グルテン、GMOは含まれていない”とのこと。

フード系のムーブメントは、ここ3,4年で生まれた現象ではありますが、本質的に同じようなことを、実は半世紀近く前からこうしたブランドが粛々と手掛けていたところに、“「誰も手掛けたことのない」と信じ込んでいたのが実際には世の中のどこかで誰かが既に手掛けている”という、スタートアップにありがちな「Only One」思想が実は妄想・錯覚にすぎないという証の一つである気がします。やはり、バズるか否かは「タイミング」に尽きるのかもしれませんが、こうして40年もの歳月を経て、老舗ブランドが新生スタートアップ群と肩を並べて商品戦略でしのぎを削る様子を、興味深く見守りたいですね。また、試しに買って食べたいと思います。巷の噂(サンフランシスコ/シリコンバレー界隈の面々からのコメント)では、Beyond Meat社のバーガーは「まるでペットフードのような」味がするらしい。。そもそもペットフードを食べたことがあるのでしょうか?・・・とにかく、新興勢力に対して、老舗ブランドの逆襲の構図の中で、消費者が最終的に受け入れる商品をどう届けて行くか、興味深いです。特に、「食ビジネス」を長年手掛けてきたブランドと、テック系出身の面々に栄養士や科学のエリートを擁するフード系スタートアップの提供する食・製品には、どこか本質的に大きな違いがありそうです。


とはいえ、食事業で「売れる」為に肝心なのは、栄養価や健康への波及効果もさることながら、結局のところやはり、「味」と「口触り」、「満腹感・満足感」といった要素が大きいような気がします。アメリカで生活をしていると、案外この「味」が未だ改善の余地が沢山ありそうな気がしてなりません。欧米の外食チェーンや食品ブランドが日本進出をする事例と重ね合わせてみたくなりますが、概ね日本で一定の成果を上げたと考えられる事例を見ると、日本人の味覚や触感のツボを上手く抑えたケースが成功を収めている気がします。日本から米国に行ったケースでは、シリコンバレーのハートを掴んだ伊藤園のペットボトルのお茶が判りやすい成功事例かと思います。

とにかく、このLightlife社は、小さな家族経営的に創業後、地道に事業を拡大し、年商で日本円30億円前後までの成長を経て大手企業に買収~投資会社の傘下~再びカナダの大手食品メーカーのグループ入り…という紆余曲折の歴史を経て今、VCや著名エンジェルからの大型投資を受けてメディアからも持て囃される新興勢力と同じ土俵で競い合うという構図は興味深いものがあります。

いずれにせよ、アメリカで培養肉・植物性肉製品を口にすることがあれば、いろいろなブランドを食べ比べてみるのが面白い時期かもしれません。
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“そこまでするか!?”~米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<米Burger King社編>

5/21/2019

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写真:Adweek 2019年5月9日ウェブ記事より"Burger King Wants to Deliver Whoppers Right to Your Car During Nightmarish Traffic Jams"
培養肉・植物性プロテイン分野でNew Age Meat社について前回取り上げましたが、その大先輩格にあたる、米Impossible Foods社。先日米国Nasdaq市場に華々しく上場を果たしたBeyond Meatと並ぶ、培養肉のスタートアップの東西横綱の一角と言えますね。既にここ2年間は日米で幅広くメディアや著名ブログサイト等で取り上げられていますので、同社についての詳細の説明はここでは割愛しますが、先週(5月)、そのImpossible Foods社の培養肉を取り扱い始めた米大手ハンバーガーチェーンBurger King社から非常に興味深いプロジェクトに着手したとの報道が目に留まりましたので、ここで簡単に取り上げたいと思います。

北米の主要フード分野のメディアであり、日本でも知名度の高いフード分野の主要大型カンファレンスであるSmart Kitchen Summitの主催社としても知られるThe Spoonの報道によれば、Burger King社がこのほど、カリフォルニア州南部のロサンゼルス市内限定で、同市内で交通渋滞に巻き込まれた自動車等のドライバーを対象とする「渋滞ドライバー向け宅配バーガー」サービスを新たにプチ・ローンチをしたとのこと。その名も”Traffic Jam Whopper”プロジェクト。

仕組みとしては、
  • 同社(BK社)はまず社内のリアルタイムデータ解析技術を活用して同市内で最も混雑が激しい道路地域を自社内で特定。
  • 上記を基に、当該取得データから得られた特定渋滞区域でつかまってしまったドライバー達向けに、同社アプリを通じたプッシュ通知あるいはカーナビアプリのWaze社のバナー広告を通じて彼らに告知。
  • 常時、同社内のシステム側では、ドライバーがのらりくらりと前に車を進めて行く中、同社の最寄りの店舗とドライバーとの距離を逐次計算をしながら、ドライバーの位置から一番近い店舗が当該ドライバーへ宅配デリ・・・いや、「車配」デリバリーを行うように動的にデータが更新されていく。
  • ドライバーは、同社のアプリ等から受け取った通知を基に、食べたくなったら自分でアプリから発注する(※因みに極めて重要なことですが、交通安全上の理由で当該サービスはハンズフリー音声でのみ発注が可能とのことらしい)。
  • 受注を確認した同社は、該当する最寄り店舗からデリバリー担当者がバイク便を発進し、ドライバーの運転する車まで走行してから真横につけて届ける

という大まかな仕組み。これ、正直、他の車の邪魔になったり、事故の温床となりそうな気もしますが。。。よほど身動きがとれないようなひどい渋滞でもない限り、果たして上手く行くのか甚だ疑問ではありますね。

曰く、ニューヨーク市内やボストンといった大都市では車で通勤する際、歩行者を避けたり狭苦しい細い道を通過したり、いろいろと細やかな運転を強いられるものの、ロスの場合、仕事が終われば、そのまま高速フリーウェーに乗ってしまってひたすらまっすぐ運転するだけ、という傾向があるらしく、そこに同社は商機を見出したものと言われています。

フード分野では、食材そのものの特性やフードテックであればその技術的な特異性や斬新性への注目が行きますが、こうしたサービス面での各社の創意工夫にも目を向けてみると、面白いものです。記事では明確にされていませんが、遅かれ早かれ、Impossible Foods社とのコラボであるImpossible Whopperも、デリバリーメニューに入るものと思われます。

因みに、ロサンゼルスの後は、上海、サンパウロでの同様の取り組みを試みる模様。折しも、日本のバーガーキングでは、既存店舗の約2割を削減する計画を発表したばかり。何か日本での生き残りをかけて日本独自のサービスを試みるのも良いかもしれませんね。
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米国フード&サステイナビリティ分野の事例紹介<培養肉編>

5/15/2019

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写真出所:米Business Insider2018年9月18日付記事”We tried the first lab-grown sausage made without killing animals-”。昨年2018年9月に米サンフランシスコのバイオ系主要アクセレレータであるIndie Bioにて開催されたNew Age Meat社によるメディア向け試食会にて、実際に試食された同社Cell-cultured-porkの写真。
先日、米国Nasdaq株式市場に話題の培養肉(”Cell-Cultured Meat”)スタートアップのBeyond Meat社がついに華々しく上場を果たしたことで、改めてフードテック、フードバイオ分野に注目が集まっていますね。

培養肉+植物性肉は、NOSH領域(Natural/Organic/Sustainable/Healthy)のSustainable/Healthyに該当するかと思われますが、同社は2009年に創業され、大手食品メーカーであるTyson Foods社をはじめ、上場までに合計8~9ラウンド(~シリーズH)の投資ラウンド、US$122millionを成功裏に集めています。

当該分野は、既存の動物性の肉を使用した従来の肉から、動物愛護的な観点及び地球環境の持続性(=サステイナビリティ)等といった近年多様化、変遷する価値観のトレンドに乗じてフード分野の大きなセグメントとなっており、Beyond Meat以外にも、Impossible Foods社(設立2011年、2019年5月現在投資額US$687.5million)Perfect Day社(同2014年、US$61.5million)、Clara Foods社(同2015年、US$16.8million)、Seattle Food Tech社(同2017年、US$2.1million)等があります。日本国内においても、Integriculture社がこの分野の注目スタートアップとして話題になっていますね。

全世界で当該市場は2021年にはUS$15.5Millionに到達すると予想され、2027年にはUS$20Millionに到達すると予想されています(⋆)。また、VC等からの投資額は過去10年間(2009年~)に大凡US$16Billion(約1.7兆円)にのぼり、特に顕著なのがそのうち$13billionがここ2年間に集中している模様である点。いうまでもなく、前述のユニコーン的なスタートアップがシリーズC~Fあたりの時期に差し掛かったことで、アーリーVCよりもレーターステージ/グロースフェーズの投資ファンドが挙って投資を実施したことが金額を押し上げている主因の一つであろうかと考えられます。

そうした中、2019年に注目したいのが、New Age Meat社です。彼らは、2名の理系創業者によって2018年6月に設立されたばかりで、筆者も当事者のうちの一人の創業メンバーとは会社設立直前の段階から親しくする機会に恵まれましたが、彼らとは、米シリコンバレーの代表的なバイオ系アクセレレータのIndie Bioのコミュニティで接点が生まれました。2019年5月現在、公表資料ベースでUS$250K集めており、Indie Bioからの卒業と共に、これから大きく飛躍していこうという段階に差し掛かったところです。

同社は、牛肉(”Beef”)ではなく、「豚肉(“Pork”)」に焦点を当てている点がさり気なく新鮮な特徴であり、既存の豚肉(具体的には、ソーセージ)の代用として、より「衛生的にもクリーン」で「倫理的にも望ましい条件下で育てられた」全く新しい“豚肉”を我々の食卓にもたらしていくことを目指して開発及び商品化に向けて本腰を入れて行くこととなります。世界の大型家畜産業(農業)は地球温暖化の主な原因のうち15%を占めると考えられており、これは、自動車や交通機関等による排ガス等からのインパクトよりも大きいと見られていますが、同社はその影響を少しでも改善されることを目指してこの事業に取り組み始めているそうです。

彼らの大きな特徴の一つとされるのは、彼らが豚の「脂肪筋肉(fat cells)」と「筋肉細胞(muscle cells)」との2つの要素を活かした代用肉の開発に着手している点。既に培養肉分野は競争激化状態にありますが、これからは、牛肉や豚肉から、今年から遅くても2020年頃までには魚の肉の培養肉までが次々と世の中に出てくることが予想されます。しかしながら、一方では、前述のBeyond Meat社も晴れてIPOを成功裏に成し遂げた今、正にこれからは上場企業としてその時価総額の実証へのプレッシャーと、持続的成長への高い期待に応えていかねばならない高いハードルに対応して行くことが求められます。Beyond Meatの結果次第では、その後の培養肉スタートアップへの投資資金の流れやメディアの取り扱い方に多少なりとも影響は出るものと思われます(Blue Apron社の失敗がまだ記憶に新しい)。そうした中、New Age Meatがどう成長していくか、2019年度は興味深く見守って行きたいです。

出所:MarketsandMarkets™ - Cultured Meat Market by Source (Poultry, Pork, Beef, Duck), End Use (Nuggets, Burgers, Meatballs, Sausages, Hot Dogs), and Region (North America, Europe, Middle East & Africa, South America, Asia Pacific) - Global Forecast to 2027
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